一期一会ふたたび その5
もう 何キロ この見ず知らずの人と一緒に走行しているんだろう
いったい どこまで行くのだろうか
相手は後ろをずっとついてくる私のトラックをどう思っているのだろうか
私はなんだか 勝手に妙な連帯感みたいなものを感じていたけれど 金魚の糞、いやコバンザメのようにくっついて走る私を疎ましく迷惑に感じているのではなかろうか と走りながらそんなことを考えていた
私は高速に乗ったら目的地までノンストップで走り切るタイプだった
トイレに行くのですら億劫に感じてサービスエリアで休憩をとることはほとんどなかった
一度停まると根っこが生えてしまったようになり 再び走る気力が失せるのだ
前方を走るあのトラックもいずれどこかのサービスエリアに吸い込まれて行くのに違いない
それからまた私には孤独な一人旅が始まるのだ
しかしいくつものサービスエリアが近づいても一向に入る気配は感じられなかった
次第に 私はどこの運送会社かもわからない どこの誰かもわからない 若いのかそうじゃないのか
男なのか女なのかすらわからないそのドライバーをまるで昔からの友人や同僚のようないつも一緒に走行しているような…そんな不思議な錯覚を覚えつつ走っていたのだ
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