一期一会ふたたび その4
その夜も例外ではなかった
私の前には どこからだろう…ずっと私と同じ速度で走る一台の大型トラックがいた
私はつかず離れずそのトラックの後方を走行する
遅い車がいれば 前のトラックが右に車線を変更し追い越しをかける
追い抜いて左に戻れば私もそれに追随する
そんなことを繰り返しているうちに 次に相手はどうしたいのかが読めるようになる
前のトラックが速度の遅い車に追いつきそうになるも 追い越し車線には速度の速い車の群れが押し寄せていて 車線変更できない
そんな時は まず私が右ウインカーをたく
追い越し車線上のトラックが排気をかけ速度を落とし右ウインカーをたいてライトを消してくれる
「入ってもいいよ」の合図だ
私は 入れてもらってありがとうという気持ちでハザードでお礼をする
今度は私も右ウインカーをたいてライトを消し 自分のペースカーのようなトラックに道を譲る
前のトラックと私が追い越しを終え走行車線に戻ると追い越し車線のトラックは水を得た魚のように速度をあげ走り去っていく
昔はあたりまえだったそんなトラックどうしの暗黙のルールのようなやり取りの光景は 今ではめっきり見られなくなってしまったものだ
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