元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」No.66

元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」No.66
トラックドライバーの誇り その64
具体的な水屋排除の動きとは一体どんなものか……、それは、流通業界の仲卸を排除して直接取引をするのと同じで、中間に入る水屋を通り越して直接走る運送会社を使うということです。
ここで流通業界と違うのは、品物を買う方のスーパーなどが主導して仲卸を排除したのと違い、荷主サイドの元請けの主導で行なわれているということです。つまり、逆の側から簡素化が進んでいるわけです。もちろん、狙いは同じで経費の節約です。
その動きの中心になっているのは荷主直接ではなく、ロジスティックシステムを委託された運送業者であり倉庫業者なのです。つまり、元請けが、従来あったピラミッド型の流れを無くし、直接実際に走る運送会社を10数社、あるいは20社以上抱えて配車しているのです。
もちろんそれには大きな理由があります。前回のブログで説明したとおり、倉庫の管理費や運賃などを見積もりとして出し、それを一括して荷主から払ってもらうのですから、その見積りよりも安く上げれば、当然そこには利益が出てきます。もちろん、利益だけでなく、新倉庫の建設などは見積りに入りませんので、それの捻出ということもあります。
そして、そこに入っている業者の多くは、規制緩和以来の新興の運送会社が多く見られます。彼らの期待は、中間の業者がいない直接の取引なので、少しでも多くの運賃がもらえるのではないかということですが、実際には百戦錬磨の元請けが相手なのです。かなり安い運賃で走らされているのが現実です。
以前は、水屋を兼ねる運送会社数社がこのような元請けに入り込み、それから実際に走る運送会社が存在したものです。例えば、長距離の場合、東西に分け、東側はA社、西側はB社などの振り分けがありましたが、現在ではそのようなことは少なくなりつつあります。
元請けも、メーカーである荷主企業に入り込むためには競争です。少しでも安い見積もりで仕事を取らなけらばなりません。そして、利益を上げるためには、水屋を排除し、正社員よりもパート社員を、いえいえ、それよりもアルバイトを使います。それは、規制緩和以来の日本の現状です。
はっきり申し上げて、未だに荷主と運送業界との間の最低運賃制度を言っている方は、もう現実を見ない夢想家でしかありません。それ出来るとお思いなら、なぜそのような働きかけをしないのでしょうか……。当たり前のことすら、実行されていないのです。
これから、運賃はもっと下がり続けることが予想されます。そうなれば、地場の2回走りが3回に、長距離の連続運行の合間に、横持ちや地場を走って隙間を埋めようとする動きが出ても不思議ではありません。
そうなれば、ドライバーは休憩、休息、睡眠時間を完全に奪われるます。はい、1日24時間労働です。
「座して死を待つ」。古い言葉です。あなた方が、まさにそうです。
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/ 
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