大型トラックはエアロが当たり前になる!?
三菱ふそう、市販車に近い形で燃費10%以上向上
10%以上の燃費改善
三菱ふそうトラック・バスが5日発表した、市販型に近いコンセプトカー「FUEL EFFICIENT TRUCK」は、従来のスーパーグレートに対し約10%以上燃費改善の実験結果を達成したという。その改良点は以下の3つ。①エアロパーツによる空力の改善、②ころがり抵抗の低いタイヤの装着、③太陽電池パネルとブレーキ時に発電するオルタネータによる電力制御。これで計10%以上の燃費改善を実現している。
長距離トラックの敵は「空気抵抗」
長距離トラックというのは、その燃費のほとんどを「空気抵抗」に費やしていると言っても過言ではない。つまり、東京から大阪に行くトラックは、その前方投影面積×約500km 分の空気をかき混ぜるために燃料の大半を使っていると言ってもよい。それならばエアロパーツは燃費の決め手になるはずだ。
コンセプトカー「FUEL EFFICIENT TRUCK」ではまず、導風板をワイド化し、後部荷箱とツライチにすることで、サイドディフレクターを不要とした。
次にサイドスカートとリアスポイラーを取り付けた。サイドスカートはもう20年以上前から市場に登場しているが、装着率はたったの0.3%(300台に1台!)と普及していない。
空気抵抗は前面だけじゃなかった
それはなぜか? サイドスカートといえば、現在はコンサートツアーやレースカーのトランポ、広告のために街を巡回するトラックが装着しているぐらい、見た目重視という感がある。サイドスカート自体、高い買い物だし、下回りの点検・整備の際に邪魔になるし、「質実剛健」の大手運送会社の間には、サイドスカートなぞ軟弱なものは着けない、という風潮があるのだ。
だが、今回、三菱ふそうが出してきたデータは目からウロコだった。トラックの前面が受ける空気抵抗を100とすると、下面で45、後面でも26もの空気抵抗があるというのだ。それなら、サイドスカートを着けることは、見た目だけでなく理にかなっている。これまた驚いたことに、下面の空気抵抗の多くはリアタイヤに当たる空気であるため、後輪より後ろ側のサイドスカートは着けない方が燃費が良いのだそうだ。
最後に、リアスポイラーだが、三菱ふそう社内でも、長いものを着けなければ効果は少ない、と思われていたそうである。しかし、実験してみると10㎝程度のものでも、角度を最適にすれば、それなりに効果があることがわかったのだそうだ。リアスポイラーは、後面の観音扉を開閉しても干渉しないよう設置されている。
低ころがり抵抗タイヤも大いに貢献
トラックの走行抵抗において、空気抵抗に次いで大きなウエイトを占めるのが、タイヤのころがり抵抗である。「低ころがり抵抗タイヤ」は乗用車では燃費対策として主流になっている。トラック用にも「低ころがり抵抗タイヤ」が発売されているが、今回装着を想定したのは、さらにころがり抵抗を低減したもので、現在タイヤメーカーにおいて開発中。市販化は2~3年後の予定という。
これらのすぐにも来実現可能な技術を結集して燃費改善を図ったのが「FUEL EFFICIENT TRUCK」である。10%の燃費改善にはどれくらいの経費削減効果があるのだろうか? 年間10万km走るトラックの場合、燃料費は年250万円、その1割は25万円にもなる。三菱ふそうでは、これらの装備を買って頂きやすい価格設定にしたいという。
近い将来、大型トラックもエアロが当たり前になる日が来るかも知れない。
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