EVトラックとバンがおよそ1000台!! アマゾンが英国に過去最大規模の電動配送網

EVトラックとバンがおよそ1000台!! アマゾンが英国に過去最大規模の電動配送網

 アマゾンは史上最大規模だというBEVトラックの発注を欧州で行なっているが、このたび、英国全土での展開が始まった。160台の大型BEVトラックが、年間で約3億個の荷物を輸送する見込みになっている。

 小口配送用の電動バンや電車、さらに「徒歩」も含め、アマゾンが輸送分野での持続可能性の取り組みを進めている。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Amazon UK・Daimler Truck AG

英国アマゾンに過去最大規模の電動フリート

EVトラックとバンがおよそ1000台!! アマゾンが英国に過去最大規模の電動配送網
アマゾンが電動の配送網の整備を進めている

 インターネット通販大手のアマゾンは自社での配送も行なっており、世界最大規模の運送会社でもある。同社は持続可能性への取り組みの一環として輸送ネットワークの電動化を進めているが、2025年はそのための大きな節目となるという。

 今年始めに英国とドイツで過去最大規模となる電動貨物車(eHGV)の発注を行なったアマゾンだが、英国のアマゾンUK向けの納車が始まっており、これによる全国の顧客への荷物の配達が開始された。

 アマゾンUKが、バッテリーEV(BEV)トラックから「徒歩」まで、同社のCO2を出さない配送網を紹介している。

BEV大型トラック

EVトラックとバンがおよそ1000台!! アマゾンが英国に過去最大規模の電動配送網
アマゾンUKでの展開を開始した「eアクトロス600」は、英国向けなので右ハンドルだ

 アマゾンのBEV大型トラックは同社の輸送パートナーによって運行されており、フルフィルメントセンターと仕分けセンター、および配送ステーション間の荷物の配送に使用される。

 アマゾンは2025年1月に大型BEVトラックの発注としては過去最大だという160台を英国向けに注文している。一部は既に運行を開始しており、全てが納入されると英国はアマゾンの世界的な輸送ネットワークの中で最も多くの大型BEVトラックを保有する国となる。

 そのトラックは、ダイムラー・トラック傘下メルセデス・ベンツ・トラックスの「eアクトロス600」で、最大22トンの貨物を搭載してフル充電で500kmを走行可能だ。車両総重量は40トンとなり、アマゾンが英国各地に整備した急速充電ポイントを利用して、20%から80%まで1時間強で充電できる。

 eアクトロス600による荷物の輸送量は年間で3億個に及ぶ見込みで、英国内の年間走行距離の合計は地球を450周する距離に相当するという。

デリバリーバン

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配送バンも電動化を進めている。メルセデス・ベンツの「eスプリンター」アマゾン仕様

 配送用の電動バンは実に800台を発注している。車両はメルセデス・ベンツの「eスプリンター」で、荷物を顧客の玄関先まで届けるのに使用される。

 アマゾン向けのeスプリンターは、ドライバーや配達パートナーから得た知見に基づいてカスタマイズされており、棚やスライド式の隔壁ドアなど、より効率的な荷扱いを可能にする実用的な機能を備える。

電動カーゴバイク

 アマゾンは、従来はバンで走行していたルートの一部を電動カーゴバイクに切り替えており、これまでに約150万kmを走行している。ロンドンやマンチェスター、グラスゴーなどの大都市で運用されており、渋滞の緩和を通じて他の交通からの排出を削減する効果も期待される。

 最高時速は約24km/hで、一回の充電当たり50kmを走行できる。最大200kgの荷物を搭載可能だが、自動車の運転免許は不要で自転車レーンの走行も許可されているという。

「徒歩」と「電車」も? 脱炭素を支援する

EVトラックとバンがおよそ1000台!! アマゾンが英国に過去最大規模の電動配送網
電動ではないが「徒歩」も脱炭素の手段の一つ

 渋滞を緩和するため、アマゾンはロンドンで徒歩による配達も行なっており、実証実験の成功を受けて、他の地域でも事業を開始した。

 移動式配送拠点となるバンを戦略的に配置し、配達員はそこから事前に計画されたルートを通って徒歩で荷物を配達する。2025年までに既に100万個以上の荷物を徒歩で配達したそうだ。

 また、アマゾンの荷物は列車でも運ばれている。スコットランドとミッドランドを結ぶウェストコースト線は全線が電化されており、フルフィルメントセンターおよび配送センター近くの駅で集荷している。

 アマゾンは英国全土に急速充電ポイントを整備しており、増え続ける電気自動車に対応している。しかし、充電インフラは依然として不足しているといい、アマゾン・ロジスティクスのEU担当副社長、ニコラ・ファイフ氏は次のように話している。

「大型BEVトラックと電動バンは、徒歩による配達などと共に、お客様と環境、そして当社のビジネスにとっての勝利です。

 しかし、このアプローチを物流業界全体に拡大していく上で課題となっているのが、充電インフラの整備です。私たちは自社施設への投資を行なってきましたが、全国規模のネットワークを構築し、電気自動車を普及させるには業界と政府の協力が必要です」。

【画像ギャラリー】アマゾンUK向けの「eアクトロス600」と同社の電動配送網(8枚)画像ギャラリー

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