タイヤ屋ハマダユキオの「車輪の下」 No.25

タイヤ屋ハマダユキオの「車輪の下」 No.25

キャンバーのいろいろ

アライメントの角度、「キャンバー」「キャスター」「トー」ってありますが・・(正確にはまだ他にもあります)
「トー」に関してはミリ単位で、よほど狂っていないと見た目にはわかりません。
同じく「キャスター」も車両を見ただけでは全く分からない角度なんですが・・・「キャンバー」は別です。
今回はこの「キャンバー」の作用とかは抜きにして「見た目」からどういう理由で?・・・というのを見ていきましょう~かね・・・。

俗に言う「ハノ字」。車両の前、または後から見てタイヤがカタカナの「ハ」の字に見えるのでこう呼ばれています。むか~し「ハノ字シャコタン」ってありましたよね?・・・・あ?、し、知らない? 知ってるアナタ、同じ世代ですねっ!!(笑)

 はまいちだ (2).jpg
▲はい~!シャコタンといえば・・・このローレルじゃ~ないでしょうか?? いい~カンジです。リアタイヤがこのように斜めに付けておりやす。この辺は中学生くらいだったので、はっきりした理由は知りません(笑) たぶん・・・かっこいいから・・・じゃ~ないでしょうかね?ダウンサスとか入れない時代なので、「2巻きカット」や「ノーサス」で、一番沈んだ状態がこうなる・・・つまり低さのアピールなのではないのかな・・?と思います。性能より「見た目」かな~と思われ・・・・。
リア駆動なのににリアのキャンバーを寝かすんですから、タイヤの接地面の少なさから駆動力は減ります。じゃぁ~コーナーリング性能UPか・・・と思いますが、リアが踏ん張るので・・・あまり速く曲がれないとは思います。(画像グーグル画像検索より)
続いて・・・

はまにだ (1).jpg 
▲時代は一気に現代へ。F-1の画像。フロントタイヤが「ハノ字」です。ネガティブキャンバーです。角度は不明ですが、おそらく-3°~-5°くらい付けられるのでしょうか
目的はもちろんコーナーリングの速度UPです。コーナーリング中の一番不安定な時に接地面を最大にしようとコースなどにあわせて調整されます。(画像:www.F1-Live.comより)
このようにタイヤを斜めに角度を付けるのは自動車だけではなく・・・

はまさんだ (2).jpg 
▲車椅子の競技車両。見た目にも大きなキャンバーの角度が付いています。ただ・・車椅子の場合は当初旋回性の性能よりもタイヤに手が当たるのを防いだり、イスにタイヤの上部が近いほうが漕ぎ易いというメリットから「ハノ字」になったようです。細かい旋回性を求める車椅子バスケット「イスバス」はこのキャンバーのメリットを生かせる競技なのではないでしょうか?(画像:ウィキペディアより)

最後はちょっと変わったキャンバー調整をアメリカから・・・・
多くの競技車両は左右のキャンバーは同じ角度で調整されますが、オーバルコースで左回りのキャンバーは面白いです。
キャンバーの作用について少しだけ・・・・
タイヤは倒れた方に進みます。ハノ字ならば、クルマの内側に、逆ハノ字ならばクルマの外側に転がろうとするんですね。
それを利用したセッティングがNASCARやインディーカーで見られる左右で違うキャンバーの角度。
まずはNASCARから・・・

 はましだ (1).jpg
▲右前のタイヤの角度、ハノ字ですよね? 左周りなので寝かせる方向、ネガティブです。

 はまごだ (2).jpg
 はまろくだ (1).jpg

▲左前のタイヤの角度、逆ハノ字なのがわかるでしょうか? 決して接触でアーム等を曲げたのではありません(笑) 左回りの旋回性能を狙ってのこと。(画像:FB NASCAR公式ページ、グーグル画像検索より)
さらにインディーカーも・・・

はましちだ.jpg
▲内側・・左フロントの角度・・・ポジィティブキャンバーで起きています。
これはタイヤに角度をつけて転がる方向を決めてあげているんですね・・・なので・・・

はまはちだ (2).jpg

▲再びインディーカーの画像。動画サイトを撮影したものなんですが、ドライバーの手の位置に注目。ストレートを走行しているのですが、キャンバーの左回り用セッティングの作用によりクルマは左へ流れようとします。それをストレートでは若干右へハンドルを切っていないとまっすぐには走らないためなんですねぇ~!
あ・・
ちなみに
はまくだ (1).jpg

▲これはロードコースでのインディカーの画像。左右でコーナーリングするためキャンバーはこのようにF-1と同じに左右ともハノ字に調整されていますね~!(画像:ASWebより)

以上、見た目でわかるキャンバーのいろいろでしたぁ~!

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「測定屋、ときどきタイヤ屋、絵描き屋の日記」

 

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