元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」 No.20

元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」 No.20
トラックドライバーの誇り その18
 
前回のブログで、待機中にベッドで寝て待てないと書きましたが、この辺を具体的に書きます。というのも、文章が少し観念的になりすぎ、トラックドライバー以外には伝わり難いかもしれないと、ちょっと反省したからです。
待機中と言うは順番待ちが大半を占めますが、その条件もさまざまあります。並んで順番を待っている間には、少しずつ前に進まなければならないことも多々あります。その時には、運転席にいないとトラックを動かせるはずはありません。また、決まった場所で待つにしても、その待ち時間がハッキリしている場合は、少しでも仮眠が可能ですが、時間をはっきりと言ってくれる積み込み先や荷降ろし先は滅多にありません。それどころか、順番が来たときにベッドにでも入っていようものなら、あからさまに不快な態度をとられることは、枚挙にいとまがありません。
そのような場合、たとえ極寒の中にあっても、極暑の中にあっても、運転席で待つしかないのです。
運転手には、中長距離であれ、地場などの近距離であれ、仮眠が絶対に必要なのです。長距離は誰もが想像できると思いますが、地場でも? と、お考えの方がいるかもしれませんね。地場でも、私の例ですが、北九州から福岡の70km程度の距離の配達であっても、車庫を午前5時には出発して7時前には着いていました。たとえ9時からの荷降ろしであっても、順番待ちがあるのです。順番が遅くなると、午前中一杯になったり、時には降ろせない倉庫や工場はたくさんあります。そうなると、次に仕事に影響が出るのは言うまでもありません。何よりも、会社が一番も文句を言います。
本来、これは運転手の責任ではないはずです。倉庫や工場の受け入れ態勢の拙さではあっても、犠牲になるのは運転手なのです。
福岡などは近い方です。熊本や長崎を想像していただければ、運転手が起きる時間も自ずと分かるはずです。福岡でさえ3時半には起きていたのですから。
そして、夕方5時に終われると思いますか? 早い時には午後3時に終われる時もありますが、遅いときには深夜の12時になる時もあります。そのような拘束時間の長い仕事がトラックドライバーなのです。
それには、途中での仮眠がどうしても必要です。春夏の気候のよい短い期間を除いては、それもままならないのが実情なのです。
しかし、どんなに眠くても社則によってアイドリングの禁止、また、今では出入り先の倉庫や工場もアイドリングは禁止しています。そして、東京をはじめとして大阪等も条例でアイドリングの禁止を定めました。だが、途中でトラックを留めて仮眠することは出来ますが、社則で禁止されたら、もうドライバーはお手上げなのです。それでも、何とか仮眠を取ったとしても、時間が遅くなった場合には自腹で高速動を使う羽目に……。社則で、これも多くの運送会社で決められています。
今回は、「ダンプママちびさん」の、具体性のある分りやすいブログに触発されて、詳しく書きました。次回は社則に戻りたいと思います。
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/
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