運送会社の手配師
仕事を出す側の大手運送会社にとっても、R運送は実に都合のいい会社だったと思う。これは想像だが、R運送は依頼があった仕事はほとんど断ったことがなかったのではないだろうか。「明日○台頼む」と言われれば、仕事の内容もよく確認せずに仕事を請けてしまう。そして、自分の知っている限りの運送会社に電話を掛けまくり、必要な台数のクルマを集めるのである。こうして集めるクルマだから、どうしても当たり外れがある。現場に行って同じR運送の下請けとして仕事をしても、「何でこんなやつとオレが一緒に働かなくちゃならないんだ」と思い、「同じ運賃取ってんのかよ」と怒鳴りたくなる運転手もたくさんいた。元請けの運送会社でも、「もう二度とR運送は使わない」と叫んでいる配車係を何回も見た。しかし、本当にクルマが足りなくなり、しかもそれが急でとりあえず頭数をそろえたい場合、以前のことには目をつぶって、R運送を頼るということになるのである。業界全体が下請け的体質を持ち、荷主の都合次第の受注産業である運送業界にとって、R運送のような会社は、仕事を出す側にとっても、切るに切れない存在だったことは確かである。 (山高一浩)