トラガール採用に高い壁! クロスワークの実態調査で浮かび上がった問題と課題

女性ドライバーならではの悩み

 トラックドライバーに「働く上で女性ならではの悩みや課題を感じることはあるかどうか」を聞いたところ(複数回答)、約半数(49.7%)が「ある」と回答している。

 この悩みに対する感じ⽅には、男女間で明確な差が⾒られ、男性ドライバーは「悩みがある」48.2%/「悩みはない」51.8%、女性ドライバーは「悩みがある」72.3%/「悩みはない」27.7%と答えている。

 ちなみにアンケートでは、男性ドライバーには現場で実感していることがあるかどうかの観点で回答してもらっているが、この結果からは、女性が現場で抱える悩みの深刻さを男性が⼗分に認識できておらず、大きなギャップになっていることが浮き彫りになっている。

 女性ならではの課題があると答えた理由(男女計)では(複数回答)、「トイレの確保」が55.6%でトップ。次いで50.6%が「体調管理がむずかしい(生理など)」と回答しており、半数以上が移動中のインフラと⾃⾝の身体的な課題を切実に感じていることが明らかになった。

 国土交通省は道の駅や高速道路での女性用設備整備を進めているが、現場では依然としてこれらの課題が残されており、女性ドライバーの働きづらさにつながっている現状がある。

男女別トイレや更衣室など基本的な設備の不足が女性とって切実な課題となっている
男女別トイレや更衣室など基本的な設備の不足が女性とって切実な課題となっている

 男女別に女性が抱える悩みや課題をどう認識しているかを聞いたところ(複数回答)、性別でみてみると、男性が考える女性特有の悩みトップ3は「女性専用設備の不足」24.5%、「給与面での差」19.6%、「体力面での差」19.6%がトップ3だった。

 いっぽう女性ドライバーがもっとも強く感じる悩みは「体力面での差」20.9%がトップ。次いで「女性専用設備の不足」18.6%、「職場での理解不足」16.3%が続き、女性が職場では少数派であることによる孤立感や偏見が課題となっていることがうかがえる。

 この結果から、設備や体力面では男女共通の認識があるものの、給与や昇進といったキャリア形成に関する課題においては、依然として男女間で認識のズレがあることが明らかになっている。

企業の施策と現場のニーズにズレが……

 では、企業の女性ドライバー採用の施策と現場のニーズを見比べてみよう(複数回答)。

 企業が女性ドライバーの募集時に工夫する点として、28.9%が「働きやすい環境づくり」を挙げた。次いで「セクハラ・パワハラ防⽌策の徹底」と「女性専用の休憩室や更衣室の設置」がそれぞれ20.0%となっている。

 しかし、現場のドライバーが会社に求める「女性採用・活躍の支援」では、「女性専用設備」が42.2%、「男女別のトイレの整備」が41.5%と、非常に⾼いニーズを⽰している(男性の回答は、現場で感じる女性ならではの悩みを想像したうえでの回答)。

 この結果は、企業側が施策として意識する「女性専用の休憩室や更衣室の設置」20.0%を、現場からの要望が大幅に上回っていることを明確に⽰している。企業側が行なう支援と現場が求めるニーズとの間に、大きなズレがあると言える。

企業が実施する施策と現場が求める支援にズレがある言える
企業が実施する施策と現場が求める支援にズレがある言える

 男女別の調査では、女性が「男女別のトイレ整備」や「女性専用休憩室・更衣室の設置」といった物理的インフラの不足をもっとも切実に訴えていることが明らかになっている(それぞれ12.8%、10.8%)。また、「運転席や荷台の改良」10.8%による体力負担の軽減も重要視されている。

 いっぽう、男性は「運転席や荷台の改良」に関心を示すものの、女性が重視するトイレ整備は上位に⼊っていない。代わりに「ハラスメント対策の徹底」8.5%が上位に入っており、女性の安全への意識が顕著に表れている。

 この結果から、「職場の理解」や「昇進・管理職への道」といった女性が重視する項目で、依然として男女間の認識ギャップがあるといえよう。

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