CO2削減効果はディーゼル車以上
ギガLNG車のモニター走行は、2018年4月から2019年3月の約1年間で行なわれた。参加事業者は佐川急便とトナミ運輸の2社で、東京〜大阪間を営業運行。1日あたりの走行距離は片道約500kmで、充填は2日に1回実施。総走行距離は25万〜35万kmにおよんだ。
その結果、走行性能はCNG車と同等。排出ガスや騒音の特性もCNG車と同等であることが確認された。燃費は4.4〜4.8km/kgで、これはディーゼル車に対して10%以上のCO2削減効果という。充填時間は10分でディーゼル車と同等。燃料供給装置にも問題は発生していない。
ちなにに、LNGはマイナス162度の液体で、燃料容器は魔法瓶のような二重構造。断熱性が高く、なかなか温まらない仕組みだが、それでも徐々に入熱すると沸点の低いメタンから気化していく。これを「ボイルオフガス(BOG)」と呼ぶ。
BOGでメタンが抜けると、LNGの組成が変化するウェザリング現象が発生。燃料として使うことはできなくなる。
このためLNGは充填したら数日で消費する必要があるといわれるが、大型車は都市間輸送で継続稼働するため車両停止期間が短く、BOGが発生しにくいためLNGとの相性がいいのだそう。なお、CNGはBOGの課題がなく、ずっと燃料容器に入れたままでも大丈夫という。
LNG充填インフラの整備状況は?
LNG車の普及に不可欠なのが燃料供給インフラの整備だ。国内ではギガLNGのモニター走行に合わせて大阪、東京にLNGの充填設備を備えたステーションがオープンしたが、昨年、運営していた出光興産がLNG供給事業から撤退。両施設の今後は未定となっている。
だが暗いニュースばかりではなく、昨年、三菱商事とエア・ウォーターがLNGを燃料とする大型トラック向けに、物流施設内の限られたスペースに設置可能な小型LNG充填設備を共同開発。近く実証実験を開始するとしている。
同設備は日本で初めての可搬型充填設備で、停電時にも充填が可能となる世界初の自家発電設備を搭載。寒冷地や湿度が高い地域でも、氷結トラブルを回避することが可能だ。
実証実験は今年4月の開始がアナウンスされており、参加車両はギガLNG車が1台、イタリア製大型LNGトラックが2台の合計3台。両社は自動車用LNG設備の全国展開も視野に入れており、将来的にはバイオLNGなどの検討も進めるとしており注目だ。
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