モリタの新しい消防車のカタチ② ~東京国際消防防災展2018より~
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レポート
VW3.5t未満の普通免許に対応
CD-I型消防ポンプ自動車「CD-I ミラクルLight」
ポンプ車の中でも小型のサイズの消防車は「CD-I型」と呼ばれ、狭い道の多い日本で一番普及している消防車である。しかし3tクラスの小型トラックをベースにした従来の車両では、昨年の免許制度改正(2017年3月の「準中型免許」の施行により、今の普通免許で運転できる車両は車両総重量3.5t未満に限られた)により、若年層の消防隊員・団員ともに普通免許で運転できないケースが出てきた。とりわけ消防団員数は年々減少を続け、団員の平均年齢は反比例して上がっていく現状が続いている。若者の消防団離れが顕著となっていくなかで、更なる減少を防止するためモリタが開発したのが1tクラスのトラックをベースに車両総重量3.5t未満にとどめた「CD-I ミラクルLight」だ。同車は軽量・コンパクトでありながらA-2級ポンプを備え、消火能力はそのままに、ポンプ室上部・車両後部に資機材庫を設置し収納・積載を確保した車両になっている。
3.5t未満の軽量消防車であるが、「CD-I型」ポンプ車の規格A-2級ポンプを搭載した「ミラクルLight」。後部のシャッター部分、横の「MORITA」と刻字された部分は資機材庫で、収納能力もしっかり確保されている
軽量化により大容量水槽を搭載
小型水槽付消防ポンプ自動車「CD-I Dシリーズ」
こちらはポンプ車で最もスタンダードな3tクラスをベースにしたモリタの小型ポンプ車の最新モデル「CD-I Dシリーズ」。大幅な軽量化が図られ、従来の小型水槽を搭載するCD-Iモデルより大容量の1300ℓ水槽を搭載する。ボディ側面には現在消防車に幅広く作用されているシャター式扉に替わってスイング式の側面扉を採用。シャッター式では巻き取りを行なうシャッタードラムにより収納スペースが犠牲になっていたが、スイング式ではスペースを無駄なく活用でき、ポンプユニットと収納スペースを一体化することで扉部に大型LEDライトを搭載することが可能になった。また、スイング扉の下部は新開発となるホイールオーバーのフルフラットステップが採用され、ポンプユニット操作などの使い勝手が向上している。
スイング扉、フルフラットステップ、新型ハイルーフ「レッドアーマーα」(右写真)の採用など、デザイン性と機能性を向上させた新しいポンプ車「CD-I Dシリーズ」。「レッドアーマーα」はオプション装備となるが、室内高がアップしヘルメットを装着したままでの活動がスムーズになったほか、赤色灯に視認性を向上させた高輝度LED、キャブ内に侵入するサイレン音を軽減する一体型の内臓スピーカーを搭載する
モリタの次世代キャビン「インテリジェントアタッカー」を搭載
水槽付消防ポンプ自動車
こちらは参考出展となるモリタの次世代キャビン「インテリジェントアタッカー」を採用した2500ℓの大容量水槽とA-2級ポンプ+最大泡吐出量5400ℓ/minのCAFS(圧縮空気泡消化システム)装置を搭載する「水Ⅱ型(水槽2000ℓ以上の水槽付消防車)」水槽付消防ポンプ自動車。インテリジェントアタッカーはダブルキャブのレンジャー・ハイルーフのキャブバックを延長し広い居住スペースを実現するとともに、後部ドアに炭素繊維強化プラスチック製の大型自動スライドドア、電動油圧展開ステップを採用することでスムーズな乗降を可能とする。展示車は水槽付ポンプ自動車だったが、軽化学車、救助工作車などにも展開が可能。また、今回の展示車には前後左右のカメラで車体の俯瞰映像と3D映像をモニター表示することで周囲の確認を行なえる「3Dサラウンドマルチビュー」(オプション装備)も搭載されていた。
前座席と後座席の往来を可能にしたウォークスルー構造(収納棚設置タイプも選択可能)を採用した「インテリジェントアタッカー」。後座席の床はフルフラットでこそないが、立ち上がれるほど広く、スムーズな乗車・降車を可能にしている
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