ダイムラーが「水素エンジン」大型トラックを2027年に市場投入! 内製化ではなくパートナーシップを選択

ダイムラーが「水素エンジン」大型トラックを2027年に市場投入! 内製化ではなくパートナーシップを選択

 ダイムラートラックとケヨウ(いずれもドイツ)は、「水素エンジン」大型トラックの実用化に向けてコラボレーションを発表した。ダイムラーの既存のトラック・エンジンをベースにケヨウが水素エンジン車へのコンバージョンを行ない、迅速な市場投入を目指すという。

 大型トラクタの「KEYOU HICE.40」を2027年に市場に投入し、数年以内に水素トラックを大規模に展開する。

 ダイムラーは電気駆動と水素駆動の両方を追求するデュアルトラック戦略を掲げており、水素エンジンはバッテリーEVや水素燃料電池を補完する技術として、高積載トラックや特装系トラックなどに活用されそうだ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG・KEYOU GmbH

ダイムラー、水素トラックでケヨウと提携

ダイムラーが「水素エンジン」大型トラックを2027年に市場投入! 内製化ではなくパートナーシップを選択
ケヨウのトラック向け水素燃焼エンジン

 ドイツのダイムラートラックAG(以下、ダイムラー)と同・KEYOU GmbH(以下、ケヨウ)は2026年6月22日、水素を燃焼する内燃エンジン(水素エンジン)での提携を発表した。

 水素エンジンは今すぐに実現可能な技術であり、経済的かつ堅牢な脱炭素ソリューションだといい、道路貨物輸送のゼロエミッション化に向けて、電気駆動や水素燃料電池を補完する駆動ソリューションとして市場に投入する。

 技術的にはダイムラーの既存の車両とエンジンがベースとなるため、迅速な市場展開が期待され、これらの車両・エンジンを水素に適応させるコンバージョン(改造)をケヨウが担当する。2027年の市場投入を予定しており、既に両社が合意書に署名している。

 ダイムラートラックでトラック技術を担当する役員のアンドレアス・ゴルバッハ氏は次のように話している。

「道路貨物輸送には様々な分野があり、用途に応じて異なる駆動ソリューションを必要としています。水素は、燃料電池と内燃機関の両方で利用できます。ケヨウ社との提携を通じて、水素燃焼技術を迅速に市場に届けるため、専門企業とパートナーシップを築きます」。

 いっぽう、ケヨウのCEO兼共同創業者のトーマス・コーン氏は次のように述べている。

「ダイムラートラックとの提携は、弊社の技術を産業用途に展開する上で重要な一歩です。両社が協力することで商用車セクターにおける水素ベースの駆動ソリューションの開発と規模拡大を加速し、大型車の脱炭素化に具体的な貢献をしてまいります」。

内製化ではなくパートナーシップを選択

ダイムラーが「水素エンジン」大型トラックを2027年に市場投入! 内製化ではなくパートナーシップを選択
「アクトロスL」をベースに水素エンジンにコンバージョンされたケヨウ「HICE.40」

 ダイムラーは世界最古の自動車メーカーであり、当然ながら内燃エンジンの開発において豊富な専門知識を有している。水素エンジンに関しても数年前から開発に取り組んで来た。しかし、市場導入に当たっては、あえてパートナーシップモデルを採用した。

 既存のエンジンを水素燃焼向けに改造することに特化しているケヨウは、実績のある量産車をベースとしたアプローチを採用している。欧州でも最大手級のダイムラーとの分業体制は、開発を効率化し、迅速な市場投入を可能にするという。

 また、長期的な顧客サポートも今回の提携における重要な焦点の一つとなっており、開発の次のステップとして両社は、既存のサービス・メンテナンス体制をどのように活用するか協議する予定だ。

 この提携は、単なる技術提携にとどまらないよう意図的に設計したそうで、商用車における水素パワートレーン分野での長期的なパートナーシップの基盤になるという。

 合意に基づきダイムラーは、メルセデス・ベンツの「アクトロスL 1848」大型トラクタと、マンハイムで製造する既存プラットフォームの12.8Lディーゼルエンジンをケヨウに販売する。

 ケヨウはこれらを水素に適合するようミュンヘンで改造する。トラックの技術的な改造と、ケヨウ製の水素エンジンの搭載は資格を有する外部パートナーが行なう。

 トラクタの車名は「KEYOU HICE.40」となり、連結総重量40トンを想定して設計され、燃料には350bar圧力の圧縮水素を採用する。航続距離は最大650kmを実現する見込みで、エンジンは最大出力350kW(約470hp)を発揮、ポート燃料噴射(PFI)システムを備えるなど、要求の厳しい輸送分野にとって強力なソリューションとなることが期待される。

 また、この技術は他のモデルにも応用可能で、これも長期的な検討項目の一つだ。

次ページは : 二つの技術、一つのゴール

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