プロフィアSHベースの自動運転荷重車両
荷重車は、SAEレベル4相当の自動運転技術を搭載した日野の大型セミトラクタ「プロフィアSH」に、今回の試験専用に設計された2軸アオリ付平床セミトレーラ(日本トレクス製)を連結したもので、後者には29トンの鉄板を積載し、連結総重量を44トンとした状態で試験運行を行なう。
耐久試験自体はテストコースを定速周回するだけだが、実は荷重車を保管するガレージからの出庫と帰庫、およびテストコース取付路の往来も、すべて無人の自動運転だ。実験スタッフが車両に対して直接行なう操作は、エンジンとシステムの起動および停止だけで、運行は管制室から遠隔監視する。
自動運転は、LiDAR(レーザー走査式センサー)とカメラのセンサーフュージョン(それぞれの検知物を統合して前方情報を識別する)に、GNSS(全球測位衛星システム)を組み合わせた情報から、荷重車自身が自車位置と経路を照合しながら走行する。道路の幅員に対して、中央か右寄りか左寄りかといった走行位置も、必要に応じて変えられる。
自動運転技術の実用化も兼ねることから、路面上に誘導マーカーは設置していないものの、LiDARやカメラに現在位置を正しく判断させるため、テストコース路肩に「ステンレス板」を立てている。もちろんリアルワールドの道路環境にはない物体だが、こちらは試験走行の正確性や安全性を担保するのが目的だろう。
なお、カメラはプロフィア量産車で車線認識などで用いられているものと同一で、位置情報とは別に前方障害物などの検出には、やはり量産車と同じミリ波レーダーからの情報をセンサーフュージョンにより統合判断している。
テストコースという閉鎖空間とはいえ、無人での24時間連続走行の実現は、荷重車ドライバーの省人化や労働負担の軽減を現実に立証するものとなる。ドライバー減少時代のトラック輸送を維持していくうえで、確実にひとつのステップを登ったといえそうだ。

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