ダイムラーが「第2世代」バッテリーEVトラックを拡充! 「第1世代」は年末で生産終了

ダイムラーが「第2世代」バッテリーEVトラックを拡充! 「第1世代」は年末で生産終了

 ダイムラー・トラックグループのメルセデスベンツ・トラックス(ドイツ)は、バッテリーEV(BEV)トラックのポートフォリオを拡充する。

 ベースは長距離輸送用のフラッグシップ大型BEVとして2024年に発売した「eアクトロス600」だ。自社開発の新型eアクスルなどが導入された同車からeアクトロスは「第2世代」という位置づけになり、新モデルは2025年秋ごろに受注を開始し、同年中に生産も始める。

 いっぽうで第1世代の「eアクトロス300/400」は年末までに廃止される。ダイムラーが初めての大型BEVトラックとして第1世代を導入したのは2021年なので、わずか4年という短命に終わった。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG

「第2世代」BEVトラックを拡充

ダイムラーが「第2世代」バッテリーEVトラックを拡充! 「第1世代」は年末で生産終了
2024年末に登場した「eアクトロス600」はダイムラーにとって第2世代のBEV大型トラックに当たる

 2025年5月13日、ダイムラートラックグループに属するメルセデスベンツ・トラックスは「eアクトロス600」をベースにバッテリーEVトラックの新たなバリエーションを追加し、車型展開を拡充すると発表した。

 これらの新型車両は、長距離輸送用の電動大型トラックとして開発されたeアクトロス600と共通する特徴を持ち、最新の駆動技術と高いエネルギー効率を合わせた第2世代のBEVトラックという位置づけとなる。

 eアクトロス600は2024年に新型キャブの「プロキャビン」と共に市場に投入された。技術的には、自社開発した新型eアクスルと長寿命のリン酸鉄リチウム(LFP)電池、高効率な駆動系のために電圧を高めた800ボルトアーキテクチャ、最新のインフォテインメントシステムとなるマルチメディア・コックピット・インタラクティブ2、快適性と安全性を向上させる包括的なドライバー補助システムなどを特徴とする。

 新型モデルは2025年秋に受注を開始し、同年中にヴェルト・アム・ライン工場で生産を開始する予定だ。

 同社社長のアヒム・プッヒャート氏は次のように話している。

「私たちの目標はこの業界の脱炭素化を迅速に進めるべく、より多くの輸送用途を電動化することです。BEVトラックの用途、ひいてはそれを運用するお客様のニーズは、とりわけ積載量と航続距離に関して非常に多岐にわたります。メルセデスベンツ・トラックスのモジュラーシステムを最大限に活用することで、eアクトロス600の強みを新たなバリエーションにも展開し、BEVトラックによる輸送ソリューションが経済的に運用できるようにお客様をサポートしていきたいと考えています」。

 セミトレーラ連結用のトラクタ車型に加えて、プラットフォームシャシー(ボディを別に架装する裸シャシー)も用意され、ホイールベースやバッテリーパッケージ(eアクトロス600はバッテリーパック3つのモデルのみだが、2パックが用意される?)、アクトロスシリーズで実績のある様々なルーフ形状のキャブ展開など、車型は大幅に拡充される予定だ。

「第1世代」はわずか4年で生産終了?

 同社がBEV大型トラックをポートフォリオに加えたのは2021年で、最初に導入されたのは「eアクトロス300/400」だった。その1年後にこれをベースにした「eエコニック」が続いた。そしてBEVトラックのフラッグシップモデルとして「eアクトロス600」が2024年末に量産を開始している。

 なお、モデル名に付く数字は搭載するバッテリーの容量を表している。名称は似ているが駆動方式からして異なっており車両としては全くの別物で、eアクトロス600から「第2世代」BEVトラックとなる。

 また、最近同社は建設輸送用のeアロクス400を発表しているが、LFPバッテリーやフロントボックス(電気関係の部品を従来のエンジンコンパートメントに収めるために一体化したもの)など主要コンポーネントはeアクトロス600と共通となっており、こちらも第2世代に属するようだ。

 いっぽう、第2世代BEVトラックのポートフォリオが拡充されたことで、第1世代のeアクトロス300/400の生産は年末までに終了となる。eエコニックは第1世代がベースだが、生産を継続する。

 連結総重量44トンという欧州の基準値に合わせて設計されたeアクトロス600は、207kWのバッテリーパックを3つ搭載し、途中充電なしで500kmの航続距離を実現した。日本の「430」(4時間の運転につき30分の休憩)と同様、欧州では4.5時間につき45分の休憩がトラックドライバーに義務付けられており、休憩時間中の充電ができれば1日に1000kmを超える運行も可能だ。

 ただ、そのための充電インフラの整備は全く追いついておらず、大手トラックグループ(ダイムラー、ボルボ、トレイトン)が合弁で公共の充電インフラの整備を進めているほか、ダイムラーは独自の「準公共」充電ネットワーク構想も発表している。

【画像ギャラリー】ダイムラーの「第2世代」BEVに相当する「eアクトロス600」(2枚)画像ギャラリー

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