ダイムラー・トラックは米国のエヴァ・テクノロジーズ社と提携するとともに、「レベル4自動運転」のために同社の次世代4D LiDARを量産型トラックに搭載し、2027年までに市場投入すると発表した。
車両はダイムラー傘下のフレイトライナー製「カスケイディア」で、米国の長距離輸送用として最大のシェアを誇る大型トラックだ。広大な国土を持つ米国ではトラックの自動運転への潜在需要も多く、アメリカントラックは無人で走るのが当たり前という時代が近づいているのかもしれない。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG
米国の大型トラックに自動運転機能
ダイムラー・トラック(以下、ダイムラー)と、その子会社で自動運転システムを開発しているトルク・ロボティクス(以下、トルク)は2024年1月9日、次世代の自動運転トラック用のLiDARセンサーとして米国のエヴァ・テクノロジーズ社(以下、Aeva)の4D LiDAR「アトラス」を採用し、同社と提携すると発表した。
光を照射して物体の検知・測距を行なうLiDAR技術は、自動運転車の開発において不可欠となりつつある。世界最大規模の商用車メーカーであるダイムラーは、超ロングレンジLiDARの長期サプライヤーにAevaを選定し、そのセンサーを量産型商用車に搭載する。
同技術を搭載し、SAEレベル4相当の自動運転(特定の条件下での完全自動運転=人間のドライバーの介在なく、一定の条件のもとで全ての運転操作をシステムが行なうもの)が可能になるのは、ダイムラー傘下で米国最大手のトラックメーカー・フレイトライナーの「カスケイディア」クラス8大型トラックとなる。
(「クラス8」は北米のトラック区分で最も重いクラス)
ダイムラーはLiDARセンサーの搭載を車両の製造プロセスに組み込むことにしており、センサーの後付けは不要としている。つまり、トラックの自動運転を実現するために顧客に必要なのは「自動運転レディ」の車両を購入することだけだ。
いっぽうトルクは自動運転システム(仮想ドライバー)とその管理サービスをサブスクリプションとして顧客に提供する。トルクはAevaが提供するソフトウェアを活用することで、物体をより早く、より精確に、より遠くまで検知することを目指している。
各社の提携は2024年の第1四半期からスタートし、Aevaによる次世代センサーの製造が2026年までに開始、翌2027年までにダイムラーによる自動運転トラックの製造が開始するというロードマップだ。
この発表に先立って自動車部品大手のコンチネンタルもオーロラ社のシステムを採用したレトロフィット可能な大型トラック自動運転装置を2027年から北米市場に投入すると発表していた。
広大な国土を誇る米国は自動運転車を先行導入するには適した土地だ。また、日本がトラックドライバー不足に陥っているのと同様、物流の担い手不足は先進国に共通する課題で、技術的なソリューションに対するニーズも多い。
米国最大手のトラックメーカーが量産車に自動運転機能を搭載することになれば、「アメリカントラックは自動運転が当たり前」という時代が間もなく到来するかもしれない。
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