欧州トラックメーカー合弁の「充電ハブ」が稼働開始! 大型EV用のインフラ整備で競合メーカーが提携

欧州トラックメーカー合弁の「充電ハブ」が稼働開始! 大型EV用のインフラ整備で競合メーカーが提携

 欧州の商用車メーカー大手が共同で設立した、大型電気自動車用の充電インフラ合弁企業「マイレンス」が初の充電ハブをオランダ南東部に開設した。当初は大型トラック4台分の充電ベイでスタートし、今後施設を拡充する。

 商用車の電動化を巡っては、欧州の大手トラックメーカー7社すべてが大型EVトラックをラインナップするいっぽう、充電施設などインフラ面は追いついていない。競合メーカーによる合弁事業が動き出したことで、EVトラックの運行を支える環境の整備も加速するだろう。先行する欧州の取組は、日本としても参考となるところが多そうだ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Commercial Vehicle Charging Europe B.V. 2023

大型車用の充電ハブをオランダ南東部・フェンローに開設

欧州トラックメーカー合弁の「充電ハブ」が稼働開始! 大型EV用のインフラ整備で競合メーカーが提携
マイレンスのニールセンCEOと電気トラック。合弁には参加していないDAFのトラックも見える

 2023年12月7日、ダイムラー・トラック、トレイトングループ、ボルボグループの欧州のトラックメーカー大手3社による合弁会社「マイレンス」がトラック用充電ハブの運営事業を開始した。

 同社は電動の大型車用のオープンな公共充電インフラを商用車メーカーが共同で整備することを目的とする合弁会社で、2021年の合意を受けて昨年設立されていた。それから約1年で、最初のトラック用充電ハブ「トラック・パーキング・フェンロー」をオランダ南東部(ドイツとの国境付近)のフェンローに開設し、その運営を開始した。

 充電ハブは大型車4台分の充電ベイを備える。2024年第1四半期の第2フェーズでさらに4ベイを追加し、特徴的な屋根などを含め施設全体の完成を予定している。

 運営開始当初は欧州を中心に国際的に普及しているCCS方式(コンバインド・チャージング・システム)による高効率充電器2基を備え、それぞれが最大400kWの電力による急速充電に対応する。また、大型車用の充電規格として1MW(=1000kW)以上の大電力に対応するMCS(メガワット・チャージング・システム)が利用可能になれば、速やかに移行するという。

 マイレンスの中核にあるミッションは、化石燃料フリーの道路輸送へのコミットメントだ。これを達成するため、トラック交通量の多い重要な物流ハブを結ぶルート上に先行して充電ネットワークを整備する「グリーン回廊」の構築に注力している。

 なお、物流用トラックによる幹線輸送のルートはほぼ決まっており、限られた予算の中、「面」ではなく「線」で効率的なインフラ整備を進めるアプローチは、欧州のほか米国などでも採用されている。

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