イタリアのイヴェコは大型のバッテリー電気(BEV)トラックと燃料電池(FCEV)トラックを独自ブランドで展開すると発表した。これは米国のニコラと共同で展開していた(ブランドは「ニコラ」)合弁会社をイヴェコグループが買収したことを受けたもの。
BEVは年内に販売を開始する。長距離輸送における真のゲームチェンジャーだというFCEVも年内に公開し、数年以内に大規模な市場展開を目指すとした。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Iveco S.p.A・Robert Bosch GmbH・フルロード編集部
合弁会社を買収し「イヴェコ」ブランドへ統合
イタリアの大手商用車メーカーで、フィアットグループの商用車部門であるイヴェコは2023年7月27日、「イヴェコ」ブランドで大型BEV/FCEVトラックの製造と販売を行なうと発表した。
これは6月にイヴェコグループがドイツにあるニコラとの合弁会社(JV)の買収を完了したことを受けたもので、それまでイヴェコの大型ゼロエミッション車(ZEV)事業は米国のニコラと合弁の「ニコラ・イヴェコ・ヨーロッパ」社で行なっていた。
大型ZEVで世界をリードするニコラはイヴェコと提携しており、BEV/FCEVの「トレ」は、イヴェコの最新世代の大型トラック「Sウェイ」シャシーの供給を受けている。先述の通りドイツのウルムにJVを設立しており、欧州におけるブランドも「ニコラ」だった。
そのニコラは5月に北米事業に集中するとして欧州から撤退し、イヴェコがJVを買収し事業を引き継いでいた。買収後に会社名はEVCOに変更されている(エレクトリック・ビークル・カンパニーの略だというが、「IVECO]との類似性も感じさせる)。
この買収&子会社化によりイヴェコは「輸送セグメントのゼロ・エミッション化に向けて前進する」としていた。既に「IVECO」にリバッジされたBEVが公開されており、ZEV事業を「イヴェコ」ブランドに統合することは既定路線で、今回の発表にも驚きはない。
ブランドは変わっても同一車
車名については正式なものかは不明ながら「イヴェコHD BEV」(Iveco Heavy-Duty Battery Electric Vehicle)及び「イヴェコHD FCEV」(Iveco Heavy-Duty Fuel Cell Electric Vehicle)としている。
イヴェコHD BEVおよびFCEVは電動アクスル(eアクスル)を採用するが、これはイヴェコグループのパワートレーン専門企業で、イヴェコの姉妹ブランドであるイタリアのFPTインダストリアル(旧フィアット・パワートレーン・テクノロジーズ)が製造する。
また、バッテリーは米国のプロテラ製、燃料電池システムはドイツのボッシュ製となっており、構成としては全てニコラ「トレ」と同じ。ニコラの欧州撤退後も両社の提携は続いており、イヴェコはニコラの技術情報にアクセス可能としているため、バッジ(ブランド)は変わっても車両はほぼ同一と思われる。
イヴェコがニコラに提供する「Sウェイ」トラックシャシーのプラットフォームは、モジュラーアーキテクチャーによりバッテリー電気と燃料電池の両方をサポートできるように設計されているという。
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