イタリア・イヴェコの小型EV商用車「eデイリー」が153.58トンをけん引し、ギネス世界記録に認定された。小型トラックは日本メーカーが強みを持ち、電動化の発表も相次いでいるが、世界市場で競合するeデイリーが、その強靭さと圧倒的なパワーを見せつけた。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Iveco S.p.A
イヴェコ・eデイリーが153トンをけん引
イタリアの大手商用車メーカー、イヴェコの小型EV商用車「eデイリー」が「電動バンによってけん引された最重量記録 (Heaviest weight towed by an electric van)」でギネス・ワールド・レコードに挑戦した。
イヴェコはフィアットグループの商用車部門で、小型商用車「デイリー」は欧州で圧倒的なシェアを誇る。特に純電動の「eデイリー」は、eキャンターやエルフEVなど、最近発表が相次いでいる日本の小型EVトラックにとっては強力なライバルとなる存在だ。
この度、力強さと堅牢さを示すためにパフォーマンスの限界に挑んだのは、eデイリーの車両総重量(GVW)3.5トンモデルの2軸バン型車で、このクラスで最高のけん引性能と強靭なシャシーは、今やギネス公認となったようだ。
けん引することに成功した重量はなんと153.58トン! もちろん特別にチューンされた車両ではなく、優れた汎用性で知られグローバルに展開する量販車によるものだ。この記録は、eデイリーの140kW/400Nm(約188hp/41kgf・m)出力の電動モーターと、後軸(2輪)駆動によるものだが、従来の4輪駆動車による記録も超えているという。
フィアットグループの車両を多重連結
挑戦が行なわれたのは2023年6月20日。eデイリーの後部にはイヴェコの「Xウェイ・ストレーター」トラックが接続された。このボンネットタイプの大型トラック(トラクタ)は、オフロードでの重量物運搬用にイギリスのイヴェコUKが特別に製造しているもの。
同車はオーストラリアのロードトレイン(トラクタに複数のトレーラを連結した車両)やダカールラリーの参戦車としても知られるイヴェコ「パワースター」を参考に、イヴェコのオフロードトラック「ストラリス・Xウェイ」を改造したもので、最大積載量は150トンに及ぶ。
このXウェイ・ストレーターにノーテブーム製のドロップデッキトレーラ(重機運搬トレーラ)を連結し、ここに約50トンの重機(日立建機の油圧ショベル ZAXIS490)を積載し、さらに7トンのバラストを追加した。ちなみに日立建機はかつて欧州展開でフィアットグループと提携していた。
トレーラの後ろにはイヴェコのキャブオーバー大型オフロードトラック「Xウェイ」ダンプをフル積載でつなげ、最後尾に空港用のオールテレーン消防車をつなげると、総重量153トンのロードトレインとなる。
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