今年4月、いすゞ自動車株と日野自動車が培ってきた商用事業基盤に、トヨタのCASE技術を組み合わせることで、CASEの社会実装・普及に向けたスピードを加速。
さらに輸送業が抱える課題の解決やカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目標に、コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(以下CJP)が発足した。
※Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)といった自動車新技術を略したのがCASE
2021年7月21日、このCJPに軽自動車メーカーのスズキ、ダイハツ工業が加わることが発表され、いすゞ、日野と同様にトヨタが保有するCJPの株式を発行済株式の10%ずつを譲り受けることになった。
果してその狙いは何なのか、昨今の物流事情をまじえて読み解いてみたい。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/Toyota、Daihatsu、Suzuki、Mitsubishi
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■物流のラストワンマイルへ軽自動車メーカー2社が加わり、商用車のCASEをさらに促進
スズキとダイハツが得意とする軽自動車は、日本の自動車保有約7800万台のうち約3100万台を占め、地方部を中心に日常生活に欠かせない「ライフライン」になっている。
ちなみに日本の道路のうち約85%が軽のサイズだからこそスムーズに行き来できる狭い道路だ。また、日本の商用車の保有台数は約1400万台におよぶが、その約58%が軽商用車なのである。
軽商用車は、このサイズだからこそ入ることのできるエリアをカバーし、物流のラストワンマイルを支える存在である。
軽自動車はカーボンニュートラル社会の実現やCASE技術の普及において重要な役割を果たすことが期待されるいっぽう、この大変革期において、軽自動車メーカー単独では解決できない課題も多く存在する。
今回、CJPにスズキ・ダイハツが加わり、協業体制を軽自動車まで拡大したのは、トラックから軽商用車まで一気通貫での物流効率化を果たし、また、スズキ・ダイハツの良品廉価なものづくりの力とトヨタのCASE技術を生かして、廉価な先進安全技術や電動化の普及に向けた取り組みを一緒に進めていこうというもの。
CJPでの協業による主な目標については、下記をあげている。
【1】物流の大動脈(トラック物流)から毛細血管(軽商用車)までつながるコネクティッド基盤構築による物流効率化
【2】安心安全に寄与する先進安全技術の商用車~軽自動車までの普及拡大
【3】サステナブルな普及を目指す良品廉価な軽自動車の電動化に向けた技術協力