アリソンといえば、米国のオートマチックトランスミッションメーカーとして知られ、日本のトラックでも採用が進んでいますが、これは箱根の路線バスに採用されて活躍しているという話題です。箱根といえば、もう1週間足らずで「箱根駅伝」ですね。以下は、先ほど送られてきた、ちょっとタイムリーなアリソンジャパンのニュースリリースの要約です。
箱根は古くから難所として知られ、天下の険と呼ばれる険しい山道と、急なカーブが短い間隔で続き、運転が難しい地域である。また、市街地でも古くからの街並みを通る道は幅が狭く、狭い道を走行せざるをえないバスにとって、ハンドル操作が大変だった。こうした場所での走行を快適にするため、この地域を拠点に操業する箱根登山バスでは、アリソン社の「T310」を搭載した三菱ふそう社製の路線バス「エアロスター」が採用されている。AT 搭載のエアロスターは2011 年4 月に導入後、さまざまな場面でその性能を発揮してきた。箱根登山バスの走行ルートは、小田原駅から仙石、桃源台までを網羅した、市街地と坂道が混在する約25km の道程で、その間に約60 か所の停留所が設置されている。車内事故の多くは、発進時のショックで乗客が転倒し発生しするが、AT 車の場合、スムースな発進が可能になるので、車内事故の低減につながる。また、AT 車はクラッチ操作が不要になるため、ドライバーに車外・内を見る少しの余裕ができ、この余裕がサービス・安全性の向上に寄与している。箱根登山バスの場合、数多くある坂道に設けられたバス停でも安全に停止し、発進時に生じる車体の揺れを最小限に抑えることが可能になった。また、対向車と擦れ違うための退避スペースがとれないほどの細い道や、ヘアピンカーブでも、ギアの複雑な操作を行うことなく運転に集中することが出来、優れた安定感で安全に走行することが可能である。
箱根登山バスが運用していた MT 車は、燃料1 リッターで2.75 km から2.87km 走行したのに対し、アリソンのAT を搭載したAT 車は燃料1 リッターで2.79km 走行することがこれまでの運用からわかり、アリソンのAT 車がMT車と遜色ない燃費性能を有していることが証明された。また、メンテナンス面においても、MT車の部品に関わるオーバーホール・交換費用はAT 車を上回ると予想されている。
箱根登山バスの主任整備士、皆木勝美氏は、次のように述べている。
「MT車は約5 年毎に1 回のペースでクラッチのオーバーホール(ディスク、各ベアリング等の交換作業)やミッション本体の故障交換が発生するのに対し、AT 車は代替期限の12 年間で1 回のオーバーホールと、定期的なギアオイルとフィルターの交換だけでメンテナンスが完了し、途中で行なうクラッチ調整等の手間が省けるのがおおきな魅力です。さらに、これまでMT車のギアオイルは定期的に交換してきましたが、アリソン製AT 車には予後診断装置がついており、事前に交換時期を表示してくれるので、適切な交換が可能となりました。」
また、箱根登山バスの指導主任で、運転手の永田輝久氏は、次のように述べている。
「近年、ドライバーになる方は様々な分野からの入社が多く、大型2 種免許に慣れていない方が多くなりました。こうしたドライバーには、安定感に優れ、悪路でもスムースな走行ができるAT 車は最適な車両といえます。ほかのドライバーにとっても、操作時の疲労感が軽減され、運転が楽になったと評判です。」
ちなみにアリソントランスミッション(Allison Transmission)は、中型・大型商用車用と米国軍用大型特殊車両用のオートマチックトランスミッション、および輸送用バスのハイブリッドシステムの世界最大手メーカーである。アリソンは、あらゆる市場・用途(塵芥収集車、建機、消防・緊急車両などのハイウェイ用車両、キャンピングカー、オフハイウェイ用車両、エネルギー開発・鉱山用機器、軍創業以来、本社を米国インディアナ州インディアナポリスに拠点を置き、現在は中国、オランダ、ブラジル、インド、ハンガリーに製造工場とカスタマイゼーションセンターを設けている。従業員数2800 人、1550 か所の独立した販売・サービスディーラーで、北米、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、南アメリカ、アフリカのユーザーに充実したサポートを提供している。
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