内燃機関に逆風が吹く中 スカニアが大型ハイブリッドトラックを刷新!

ハイブリッド化の詳細

 大型商用車のハイブリッドに取り組んでいる完成車メーカーは多くないが、スカニアはその中の一社だ。

 スカニアの上級副社長でEモビリティを担当するフレデリック・アラード氏は次のように話している。

 「GE281は大型トラックの世界では全く新しいものです。スカニアの第4世代ハイブリッドトラックにより、さまざまな架装と用途のハイブリッド化を可能にしました。比較していただければ、スカニアのハイブリッドが最善の選択肢になるでしょう」。

 実際にスカニアはこのセグメントにおけるパイオニアで、2014年に導入した第1世代の大型ハイブリッドトラックでは、電気のみでの走行距離は最大2kmだった。

 「この数字は、今日の”60km”という数字からすれば貧弱に見えるかもしれません。しかしこの産業にとっては重要な最初の一歩でした。排気ガスと騒音を出さない走行が確かに可能であり、もちろんハイブリッドソリューションにより燃料も節約できます。新たな水準をもたらす新型ハイブリッドでは、GE281の出力がICEを上回ることがしばしばあります。したがってICEの現在の重要な役割は、より長い区間を走行する時に航続距離を延伸することです」。(同氏)

 電動マシーンはパワフルなだけでなく、汎用性にも優れている。PTOは運転中も使えるし、電動走行中でも使える。馬力が足りない場合は、「パワーモード」を選択するとICEの回転数アップにより100hp(74kW)が追加されるなど、ドライバビリティも向上した。

 搭載するバッテリーは、PHEVが90kWh(3x30kWh)で、HEVは30kWh。PHEVの充電は95kWDC充電器で35分なので、休憩中や荷役中にもフル充電が可能だ。

燃費向上と積載量アップを訴求

 また、DC09型エンジンからDC07型のハイブリッドへダウンサイズすることで積載量は250kg増加する。エンジン重量の減少分を差し引いても、ハイブリッド化により車両重量は750kg増加する計算になるが、EUの規制は電動車両の積載量に最大1tのエクストラ・ウェイトを認めているためだ。
(注・日本では認められていません)

 ハイブリッドシステムによりどれだけ燃料を節約できるかは、もちろん、さまざまなファクターの影響を受ける。例えば運用方法、道路勾配、スタート&ストップを繰り返すなど……。

 高速道路を一定速で巡航しているときなど、電動モーターはあまり役に立たない。最も燃料削減効果が大きいのは交通量の多い都市部での走行で、最大で約40%の燃料を削減できるという。

 スカニアは将来的にトラックはBEV(バッテリー式EV)に置き換わって行くと考えている(実際にBEVトラックも発表している)が、航続距離が延び、あらゆる場所に充電インフラが整備されるまでは時間がかかるため、「少なくとも向こう10年は、ハイブリッドには確実に可能性がある」(同氏)という。

 柔軟性と使いやすさなど、スカニアが「今日、市場で購入できるトラックの中で最高の、成熟した本格的なハイブリッド」と語る新世代HEV/PHEVトラックは持続可能な輸送システムに向けた前進と言えそうだ。

 「電動化を進めるが、科学に基づいた二酸化炭素の削減によりパリ協定をサポートする」というスカニアらしい現実的なアプローチである。

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