自動運転技術により「ロボタクシー」から「ロボトラック」まで手掛けている中国のポニーAIは、このたび貨物輸送の自動化について同社の見通しを明らかにした。
最新の自動運転キットによりコストが大幅に下がったことで、レベル4自動運転大型トラックは今後2~3年で大規模配備が進み、小型トラックは2030年までに10万台に達すると予想している。また、世界最大のトラック市場という規模を武器に、海外市場への進出も加速する。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Pony AI
自動運転による「ロボトラック」というビジネス
中国の自動運転企業・ポニーAI(小馬智行)は2026年8月3日、メディアブリーフィングを開催し、「ロボトラック」事業を担当するヘ・シン副社長が、レベル4自動運転技術と貨物輸送の自動化について同社の見通しを明らかにした。
自動運転技術においては米国と中国が世界に先行しており、覇権争いの様相を呈している。生産財(お金を稼ぐ道具)である商用車はこの技術が真価を発揮する分野であり、中でも台数の多い自動運転トラックは本命中の本命である。
ポニーの見通しによると、中国では今後2~3年で同社の第4世代自動運転大型トラックが長距離輸送、路線便、港湾物流という3つの主要シナリオにおいて500~1000台規模で配備される見込みだという。
また、小型トラックはそれより早いペースで普及すると予想しており、2030年までにレベル4自動運転小型トラックを10万台に増やすことを目標にしている。
この目標は、自動運転システムの成熟と、ハードウェアコストの低下、自動車グレードの冗長プラットフォーム、製造・物流分野でのパートナーシップといった進展を反映したものだ。
中国は世界最大のトラック市場で、規模にすると日本の約10倍。この市場規模を活かして貨物輸送の自動化という革新を、世界に先駆けて実現したい考えた。
なぜ貨物なのか? なぜ今なのか?
ポニーが自動運転トラックの開発を始めたのは2018年だった。最初の車両はほとんど手作業で製造したプロトタイプだったが、その後トラックメーカーとの提携を通じて量産に近づいて行った。
最大の焦点は、当初の技術的課題から、今では運用価値を最大化する「場所」と「条件」に移っている。
道路貨物輸送には確実なニーズが存在する。いっぽうで大型トラックを安全に運転できる人材は限られ、労働力が不足しているのは世界に共通する課題だ。ドライバーの高齢化や繁忙期と閑散期の需要の変動など、トラック運送業の構造的な問題、長時間労働や不規則な労働時間など労働環境の問題もある。
レベル4自動運転トラックはこうした課題を解決する可能性を秘めている。物流の担い手不足を解消し、ピーク時の輸送力を補完することで、より安全で安定した運行を実現する鍵となる技術だ。
自動運転トラックの潜在的な可能性については多くの人が納得するのだが、技術力だけでは大規模な構造転換は進まない。信頼性と、商業的に実現可能なスケーラビリティを確保する必要がある。ポニーがこのタイミングで大規模展開を発表したのは、自動運転システムの「コスト」のためだという。
「私たちは適切な時を待っていました。技術的には既に高い水準に達していますが、レベル4自動運転システムのコストは依然として高額でした。自動運転キットとしてのコスト削減は、ロボバン(小型トラック)とロボトラック(大型トラック)の両方にメリットをもたらします。技術的には完成しながら、弊社が大規模生産を急がなかったのは、まさにこのためです」(ヘ・シン副社長)。
ポニーは第4世代自動運転トラックでハードウェアコストを約70%削減したと発表している。サービスライフは稼働時間にして2万時間、走行距離にすると100万kmを想定し、自動車グレードでの量産が可能になった。
技術実証の段階は既に終え、2025年11月時点で約200台の大型トラックが合計で10億トンキロの貨物輸送を行なった。規模を追求する前の段階だが、事業収益は1000万ドル(約16億円)を超え、中国市場での需要も高まっている。


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