自動運転技術を開発している中国のポニーAIは、同国の大手トラックメーカー、東風柳州汽車および三一トラックとの提携を発表した。自動運転のバッテリーEVトラックを1000台規模で量産化し、2026年中に配備する計画だ。
中国には世界最大のトラック市場という強みがあり、大規模商用化を推進することでこの技術の実用化を加速させ、世界的にトラックドライバー不足が深刻化する中、貨物輸送における覇権を確保する狙いもありそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Pony AI Inc.
ポニーAIが自動運転BEVトラックを2026年に量産・配備へ
自動運転技術の世界的なリーダーであり、米国ナスダック市場に上場する中国のテクノロジー企業、ポニーAI(小馬智行)は2025年11月19日、中国の大手トラックメーカー、三一(サニー)トラックと東風柳州汽車(東風柳汽)と共同で「第4世代」自動運転トラックを開発すると発表した。
同社の第4世代自動運転トラックシステムは高度な適応性を備えたモジュール設計を特徴としている。最初のモデルはサニーと東風柳汽のバッテリーEV(BEV)プラットフォームをベースに構築するといい、おそらくセミトレーラをけん引する大型トラクタとなる。
これらのモデルは1000台規模で量産することにしており、早くも来年(2026年)にフリートとしての展開を予定する。自動運転トラックの量産・配備は、この技術をさらに発展させ、大規模な商用無人運転を実現するというトラック業界の変革に向けて大きな飛躍になるという。
トラック向けの第4世代自動運転キットは、同社の最新世代のロボタクシー(乗用車向けの自動運転システム)と大部分のコンポーネントを共通化し、これにより車両1台当たりの部品コストを前世代と比較して約70%削減した。
自動運転トラックは貨物輸送のコストを大幅に抑制し、運行効率を向上することが期待されている。社会的な受容性を高めて行くことが不可欠な完全自動運転だけでなく、例えば「1+4プラトゥーニング(隊列走行)」なども用途として有望だ。
これは、先頭のトラック1台を人間のドライバーが運転し、それに追従する後続の4台を無人運転で走らせるもので、ポニーAIによると現在の試験シナリオでは1km当たりの輸送コストを29%削減し、運送会社の利益率は195%向上するという。トラックドライバー不足という世界共通の課題に対処する上でも早期実現に期待のかかる技術だ。
ポニーAIの最新型ロボタクシーは、完全冗長設計と安全基準への対応を特徴としており、これと大部分のシステムを共通化した第4世代自動運転トラックでは貨物輸送の安全性とシステムの信頼性を新たな水準に引き上げた。
車両を運転するのに必要な6つの主要システム、すなわちステアリング、ブレーキ、通信、電源、コンピューティング、センサーのすべてを電子化し冗長性を備えた完全バイワイヤ冗長シャシーは、様々な状況下で安全な運行を保証するという。
また、第4世代自動運転トラックでは、電磁気的な干渉への耐性(電磁両立性)、信頼性、高温や低温環境など、一般的な貨物輸送において遭遇する複雑な状況・気象に対応するため、厳格な試験を実施し安全性をさらに高めた。
システムは2万時間の耐用年数を想定しており、最大100万kmの走行距離で貨物輸送をサポートする。

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