貨物用に2つのプラットフォーム
ポニーのロボトラック戦略は、大型トラックと小型トラックに分かれている。貨物輸送においてこれらは異なる役割を担うからだ。
大型トラックは高速道路を使った物流ハブ間の幹線輸送、コモディティを輸送する路線便、港湾物流などを想定して設計している。第4世代の自動運転大型トラックはバッテリーEVがベースとなり、要件に応じて単独走行と隊列走行の両方に対応する。
今後数か月以内に出荷を開始する予定で、深センの媽湾(マワン)港が最初に導入される拠点の一つになるという。ポニーは同港にロボトラック数十台を投入するプロジェクトを受注しており、中国西部の他のプロジェクトとともに、3つの優先シナリオの一つとなっている。
小型トラックは物流チェーンにおいては異なる部分を担っており、都市部の物流センターや小売店、配送拠点、低温物流施設などで利用されている。運転環境としては大型トラックより、むしろ乗用車に近い。
ポニーはレベル4自動運転小型トラックを2026年4月に発表しており、CATLの「Kunshi」シャシーをベースに構築しているため、これもBEVとなる。積載スペースは約18立方メートルを確保し、都市部および都市間の輸送の両方を想定する。
現在は物流パートナーとともに路上試験を行なっているところだが、規制当局の承認が得られれば大型トラックより急速に普及が進むとみており、同社は2030年までに10万台を目指しているという。
その理由はラストマイル輸送を人間が担うことの非効率さで、多頻度・小口輸送は自動運転により運行コストを40~50%削減できると同社は推定している。また、歩道等を活用するいわゆる「配送ロボ」(低速自動配送車)と比較すれば、積載量は2.6倍で、走行速度は自動車と同じだ。現実的な輸送力を考えるとトラックを代替できる手段は、トラック以外に存在しない。
異なる車種でも同じ「仮想ドライバー」
ポニーは、いわゆるロボタクシー、ロボバン、ロボトラックに共通の仮想ドライバー(自動運転システム)を適用するというアプローチを採用している。
小型トラックは運転環境が同じ第7世代ロボタクシーと共通の技術スタックを活用しており、充電やサポートインフラ、管理・運用機能を共有する。技術的には90%を共有できるそうで、高い相乗効果を見込んでいる。
いっぽうで乗用車とは異なる制御要件がある大型トラックは、サイズ、重量、架装物、制動距離など車両ごとに適応を図る必要があり、また乗用車では一般的に遭遇しないような条件も発生する。それでも交通状況を把握し運転判断を下すというコア機能は同じ基盤・同じ開発手法に基づいている。
AIにより自律的に行動するロボット(フィジカルAI)には、物理法則や因果関係を理解する「世界モデル」が必要とされる。異なる車両プラットフォームから得られるデータと運用経験はその開発にも貢献しており、独自の世界モデル「PonyWorld 2.0」によって仮想ドライバーを更に強化する開発ループを構築しているという。
「自動運転は段階的に進化して行きます。技術主導型の製品開発は、製品自体が新たなビジネスモデルを可能にするという特徴を持っており、最終的にはそのモデルが業界を再構築する段階に進むでしょう」(同氏)。
同じくらい重要なのが安全のためのアーキテクチャだ。ポニーはロボタクシーから大型トラックまで冗長システムを採用しており、ステアリング、ブレーキ、通信、電源、コンピューティング、センシングが多重化されている。フェイルオーバー設計により、特定のハードウェアもしくはソフトウェアに障害が発生した場合も車両の主要機能は維持され、安全に停車することができるという。


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