地方での小規模生産がグローバルな大規模生産に勝る
今回の研究でもう一つ明らかになったのは、グローバルな巨大工場で水素を生産するより、地域の小さな生産拠点で製造したほうが環境には良いということだ。
たとえば、水素の充填ステーションで燃料を現地生産できるなら、長距離輸送を回避できる。非常に軽く、常温・常圧で気体の水素は液体燃料より輸送が難しい。トラック燃料としてグローバルな供給網を維持するには輸送行程に膨大なエネルギーを必要とし、この工程からの排出が多くなる。
バルガス氏は次のように説明している。
「水素は全ての元素の中で最も軽く、輸送に適さない性質を持っています。(常温・常圧で密度が低いため)気体では強力な圧縮が、液体では極低温への冷却が必要となります。どちらの場合もそれによるエネルギー損失を避けられず、液体の場合は輸送中の蒸発にも対処しなければなりません」。
このため研究者らは水素によるCO2削減効果を最大化するためには、単に水素の利用を拡大するだけでなく、供給面でも適切な条件を整えなければならないと主張している。この研究はスウェーデンの状況に基づいているが、その結果は世界の他の地域にも適用できるものだ。
「輸送セクターが急速に変化するなか、あらゆる決定が長期的な影響を及ぼします。意思決定に際しては徹底的な評価とライフサイクル分析を行なうことが望ましく、本研究は意思決定者が根拠として活用するのに適しています」。(グラン氏)
結局のところ、「電気」「グリーン水素」「バイオメタン」を条件に応じて使い分けるのが最も効率的で、複雑なトラック輸送の脱炭素化という課題を、一つの技術で解決できると考えるべきではないのかもしれない。
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