『地産地消の燃料』のひとつとして「バイオメタン」の開発が地道に続けられている。このほど、安価な小型充填機を用いたバイオメタン充填実証が国内で初めて行なわれ、いすゞ自動車および実証車として同社の小型トラック「エルフCNG-MPI」が参加した。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/いすゞ自動車
未利用バイオ資源から高純度のメタンガス
「バイオメタン充填実証」は、京都の再生エネルギー技術企業ルネッサンス・エナジー・リサーチ(RER)が取り組んでいる事業で、大阪府の「令和6年度カーボンニュートラル技術開発・実証事業」で採択された同社の次世代型バイオガス発電開発・実証事業における成果の一つである。
この事業の大きな特徴は、「間伐材の樹皮」や「廃油」などほぼ未利用のバイオマス資源を活用し、これらを発酵(メタン発酵)させてバイオガスを生成、さらにこのガスから二酸化炭素(CO2)を分離する独自技術により、メタン濃度が約90%という高純度のメタンガスを低コストかつ低エネルギーで製造する点にある。
高純度メタンガスの組成は、化石燃料である天然ガスの主成分(CH4)と同一で、天然ガス自動車(NGV)の燃料としても使える。そこで、現在は未利用バイオマス資源を廃棄物として処理している事業者が、それをバイオメタン燃料へ転換してNGVに供給するという『地産地消』モデルを、RER社では提案している。
地産地消を図るため、バイオメタン燃料の給油装置には、低圧小流量の小型充填機の起用が想定されている。低圧小流量の小型充填機は、給油時間が長くなるデメリットこそあるものの、天然ガススタンドが設置している大型充填機と比べ、設置に関わるコストを大幅に抑制できると考えられるためだ。
今年9月に実施されたバイオメタン充填実証は、RER社が開発中の未利用バイオマス資源用メタン発酵技術と、バイオガス中のCO2を分離する膜技術、分離したCO2とガスを触媒上でメタン合成(メタネーション)して製造するバイオメタン燃料を、初めて用いるとともに、低圧小流量の小型充填機でNGVへ補給、実際に走行させるもので、もちろん国内初である。
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