トヨタとダイムラーの動きにも注目
トヨタとダイムラーが手を組むことになったポイントが、CASE(コネクテッド・自動運転・共同利用・電動化)技術、特に将来の電動化技術である水素燃料電池(FC)の開発・生産だ。トヨタの佐藤社長CEOは「単なる相互供給ではなく一緒に研究していく。すでにプロジェクトベースで動いている」と語ったが、これは興味深いところである。
というのは、ダイムラーはボルボトラックと大型トラック用FCの開発・生産で協業(セルセントリック社)していること、そしてトヨタも大型トラック用次世代FCの開発を今年2月に発表していることで、ダイムラーが2つのFC技術ソースを確保するのか、あるいはトヨタとの協業へ重心を移していくのかは、今後の焦点となるだろう。
そのトヨタは、1966年に日野への資本参加を発表して以来、約60年におよぶ関係を改める。乗用車やミニバン・SUVがメインのトヨタ、小型~大型のトラック・バスがメインの日野では、一部モデルでエンジンの相互供給が行なわれてきた程度で、技術面(ハイブリッド技術を含む)や生産面でのシナジーが限られていたのも事実だ。ただ、乗用車事業と商用車事業の分離・独立化は、ダイムラー、ボルボなど先例が多々あるので、珍しい話ではない。
いっぽうで日野・羽村工場は、当初は機械工場だったがトヨタからの受託生産車工場となって以来、飛躍的に発展してきた経緯があり、「ハイラックス」や乗用車(「カリーナ」「コルサ」など)、近年では「FJクルーザー」や「ランドクルーザー250」の生産を担当、それらの開発・設計業務の一部も日野が担うなど、一定の成果を挙げてきた。しかし来年4月以降はトヨタ子会社として、トヨタグループにおけるセパレートフレーム式シャシーSUVおよびピックアップの中核拠点を目指すとしており、前述のとおり日野からは離脱する。
つまりトヨタが持ち株会社の経営・出資以外の領域で日野(と三菱ふそう)に関わるのは、FCシステムの開発・供給パートナーといった形になるものと思われる。

コメント
コメントの使い方