フォルクスワーゲン(VW)の商用車部門であるトレイトン・グループは、ブラジルのクリーンな貨物輸送への道を切り開くため「eデュトラ」連合の立ち上げを発表した。
eデュトラは、いわゆる「ゼロエミッション回廊」で、リオデジャネイロ・サンパウロ間でBEVトラックの運行を可能にする。決まったルートを走る路線トラックの電動化を進めるため、物流道路で集中的に電動インフラの整備を進める手法は欧米でも採用されているが、ブラジルでは初めてだ。
小売り、物流企業やインフラプロバイダー、ブラジル政府なども協力しているといい、VWグループとして将来のニーズを把握する役割も担っている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/TRATON SE・Volkswagen Truck & Bus
ブラジル初のゼロエミッション回廊
2025年11月11日、COP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)が開催されていたブラジルのベレンで、フォルクスワーゲン(VW)の商用車部門であるトレイトン・グループおよび同社のブラジル子会社であるVWトラック&バスは、物流会社、インフラプロバイダー、ブラジル政府などと共同で「eデュトラ」プロジェクトを発表した。
ブラジル初のゼロエミッション回廊となるeデュトラは、同国の道路輸送における貨物の脱炭素化を進めるもので、民間部門で最大規模のものになるという。
ゼロエミッション回廊(あるいは「eコリドー」などとも呼ばれる)は、決まったルートを走ることが多い路線トラック向けに、一部の物流道路に優先して電動インフラを整備し、貨物輸送の脱炭素化を進めるもの。
こうした手法は欧州や北米でも採用されており、トラックの電動化を進める際に一定の役割を果たしてきたそうで、今回のプロジェクトもグローバル・グリーン・ロード回廊イニシアチブの一環だという。
ブラジルの2大都市であるリオデジャネイロとサンパウロを結ぶ路線でバッテリーEV(BEV)トラックの運行を可能にすることで貨物輸送を脱炭素化するとともに、気候変動における国際協力の新たなベンチマークを確立する。
トレイトンでサステナビリティ責任者を務める、アンドレアス・フォレル氏は次のようにコメントしている。
「電動化は交通の未来です。しかし、この道のりは長く、私たちはしっかりとしたビジョンを持つ必要があります。だからこそeデュトラは重要なのです。ベレンのCOP30に、私たちは約束ではなく進歩を持ってきました。これはただのプロジェクトではなく、協力することで変革が可能であることを証明するものです」。
大規模展開に向けてニーズを把握する役割も?
気候変動への対応はブラジルを始めとした新興国でも喫緊の課題となっている。
今回の取り組みは、BEVトラックの需要を集約し、関係者間で調整することで充電インフラへの投資リスクを軽減し、輸送分野のゼロエミッション化を加速することを目指しているといい、VWトラック&バスの社長兼CEO、ロベルト・コルテス氏は次のように話している。
「私たちは全ての人のための持続可能な輸送ソリューションの開発に尽力しています。それが、このプロジェクトを開始した理由です。次世代のよりスマートなモビリティの構築を支援します。様々な関係者とのパートナーシップは、変化を生み出す力になります」。
プロジェクトは既に成果を上げているそうで、VWトラック&バスはLOTSグループと協力してこの区間で初めてのEVトラックの走行を完了した。また、DHLサプライチェーン、アマゾン、スカニアなどもこのルートでの電動の貨物輸送を開始している。
トレイトンはこうした初期のプロジェクトを通じてインフラ等のニーズを把握し、大規模な展開に向けて車両を最適化する上で役立てる予定だ。
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