ついに電動化された小トラの代名詞 いすゞ新型「エルフEV」の実力を検証する!!

ついに電動化された小トラの代名詞 いすゞ新型「エルフEV」の実力を検証する!!

 2023年3月に16年ぶりにフルモデルチェンジしたいすゞ新型エルフでは、バッテリーEVモデル「エルフEV」がラインナップに追加される。小型トラックの代名詞として国内外で存在感を放つエルフだが、新開発のEVモデルの実力やいかに!?

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2023年3月発売「フルロード」第48号より

小型トラック用新プラットフォーム「I-MACS」とは?

新型エルフのEVモデル(左)とディーゼルモデル(右)
新型エルフのEVモデル(左)とディーゼルモデル(右)

 新型エルフは、新たに開発された小型トラック用プラットフォーム「I-MACS」を導入している。

 I-MACSとは、シャシーに組み付けるコンポーネントのレイアウトと、E/Eアーキテクチャ(電気/電子装備類のシステム構成)を、新しいコンセプトで構築したものである。

 というのも新型は、内燃エンジンモデルと電動モデル(EV、FCV)というまったく異なるパワートレインを軸に、さまざまな車種を展開する。それを効率的に開発/生産していくために、あらかじめ両者で共用できるプラットフォームとして、I-MACSを開発したわけだ。

 具体的には、エンジン、トランスミッション、あるいはモーター、インバータ、燃料タンク、高電圧バッテリーなどをモジュール化して、共通のシャシーフレーム、アクスル、キャブ、ADASと組み合わせられるようにしてある。

 これにより、さまざまなニーズ、用途に対応できる小型トラックシャシーが、ディーゼル車や電動車といったパワートレインに関係なく展開可能となるのだ。

多彩な架装ニーズに応える新型エルフEV

テストコースを疾走する新型エルフEV。写真はドライバン架装だが、さまざまな架装物に対応するePTOも設定予定だ
テストコースを疾走する新型エルフEV。写真はドライバン架装だが、さまざまな架装物に対応するePTOも設定予定だ

 新型エルフEVは、前述のとおりプラットフォームをディーゼルモデルと共用する。そのため、多様な用途に対応可能なEVシャシーとなっているのが特徴で、フレーム高もフルフラットロー、フラットロー、高床が選択できる。

 なお、特装車の上モノを駆動するePTO(電気パワー・テイク・オフ装置)は、現時点では準備中とされているが、もちろん設定する予定だ。

 EVの性能を左右する高電圧バッテリーには、韓国のLGエナジーソリューション製リチウムイオン電池を採用。バッテリーパック1基あたりの容量は20kWhで、2基(40kWh)、3基(60kWh)、5基(100kWh)の3仕様を設定する。

 2基仕様のバッテリーパックの配置は、キャブ直後の左右サイドレール間に1基(センターバッテリーと呼ばれている)、もう1基は右サイドレールの外側、つまりディーゼル車の燃料タンクの位置に搭載する。

 3基仕様は、右側と反対の左サイドレール外側にもう1基追加する形で搭載し、5基仕様はこの左右サイドレール外側にさらに1基ずつ追加するスタイルだ。北米向けになると、7基仕様と9基仕様まで存在する。

 モーターは、ZF製のEV商用車用セントラルドライブ式ユニット「CeTraxライト」で、インバータと減速機を一体化したものである。これをセンターバッテリーの後方に搭載し、短いプロペラシャフトを介してディーゼル車と共通のドライブアクスルを駆動する。

 なお、キャブ下のエンジンルームには、冷却系とパワステやヒートポンプ式エアコンなどの補機類を搭載する。充電ソケットボックスには急速充電用(CHAdeMO)と普通充電用の2つのソケットを装備する。

 また、いすゞの商用車テレマティクス「MIMAMORI」、稼働サポート「PREISM」には、それぞれEVトラック運行のための専用メニューが設定されている。

 その中身は、MIMAMORIではディーゼル車との混成運用で最適な運行/充電計画機能が、PREISMでは故障などの車両コンディション遠隔把握に、航続可能距離、バッテリー充電率と劣化状態、省電費レポート機能などが、それぞれ盛り込まれている。

 ちなみにエルフEVの営業活動では、EVトラックの導入の検討、充電施設を含めた実際の導入のサポート活動や、導入後、EV化によって達成した脱炭素効果の評価レビューなど、ユーザー企業のカーボンニュートラル活動を支援していく予定だ。

【画像ギャラリー】ディーゼルモデルとの違いは? エルフEVのディティールをチェック!!(5枚)画像ギャラリー

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