建機みたいな運転席の大型トラック!? オランダ・GINAFが製作した特注シャシーの目的とは?

建機みたいな運転席の大型トラック!? オランダ・GINAFが製作した特注シャシーの目的とは?

 GINAF(ジナフ)といえば、オランダの特殊トラックシャシー・メーカーとして、知る人ぞ知る存在です。昨秋ドイツで開催された商用車ショー・IAAトランスポーテーション2022で、そのGINAFが出品していたのは、なんと建機のような全面ガラス張りのキャブを載せた大型トラック。その正体は驚くべきパフォーマンスを秘めていたのです。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/「フルロード」編集部、GINAF、Wim van Breda、Lochmann cabine

上が建機で下がトラックの顔

DAFの大型トラック「CF」の顔だが、キャブは建設機械のような逆スラントのガラス張りで、運転席は中央に1人乗り。ブースの面積と配置上、車両全体もわからない
DAFの大型トラック「CF」の顔だが、キャブは建設機械のような逆スラントのガラス張りで、運転席は中央に1人乗り。ブースの面積と配置上、車両全体もわからない

 GINAFは、欧州の大型商用車メーカービッグ5の一つ・DAFのトラックをベースに、積載量の増大や大容量クレーンの架装を可能とするための、特殊なシャシー改造を得意としているメーカーです。

 そのGINAFのブースから、下半分がDAFの大型トラックと同じ顔、上半分が建機のような1人乗りガラス張りのキャブが、まさにひょっこり顔をのぞかせていたのです。

 「コレはいったいなんのために改造されたトラックですか?」と直球で説明員氏に質問したところ、「道路維持管理用途のために特別につくられたシャシーで、ベースはDAFの『CF』です。このキャブは、作業時の視界を確保するためです」と答えてくれました。

 このようなほぼ一品モノの特注車の展示は、このクルマ自体の販売が目的ではなく、他社にはない開発力と具現化する能力を、それを望む潜在顧客に示すことにあります。IAA2022は電動化が大テーマで、GINAFも大型EV塵芥車用シャシーを出品していましたから、個別事例である「上が建機、下がトラックの顔」の正体については、帰国後あらためて調べました。

微低速走行から80km/h走行まで

ヴィム・ファン・ブレダ社の高速草刈り車「ブレトラック2」。これが建機とトラックの顔をもつクルマの完全体だった
ヴィム・ファン・ブレダ社の高速草刈り車「ブレトラック2」。これが建機とトラックの顔をもつクルマの完全体だった

 このCFベース改造シャシーは、ヴィム・ファン・ブレダ社というオランダの特殊車両メーカーが開発した「高速草刈り車・ブレトラック2」のためにつくられたものでした。

 高速道路の路肩に植えられている芝や草の整備では、以前から草刈り車が使われています(日本にもある)が、車両の性質上、高速性能を併せもっていないため、草刈り現場への移動には時間がかかってしまいます。

 そこで「ブレトラック2」は、草刈り作業時には時速0~20㎞を一定に保って走行できる微低速性能に加えて、移動時には時速80km(日本と同じく高速道路での大型トラック上限速度)での走行も可能とすることで、作業・移動のトータルの業務時間を短縮するという、画期的な草刈り車になっています。しかも車線を制限する時間も短縮されるので、交通流の面でも改善できるというわけです。

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