具体的な計算例
全ト協の例は、東京・福岡間の距離制運賃で走行距離が1100km、燃費3.3km/Lの大型車、軽油調達価格は120円となっている。算出上の燃料価格上昇額は17.5円となるので(115+2.5-100=17.5)、1運行の燃料サーチャージは次のように計算される。
1,100 (km) ÷ 3.3 (km/L) × 17.5 (円/L) = 5,834(円)
これは「標準的な運賃」の約2%に当たる。仮に軽油価格が1L当たり150円台前半に値上がりしたとすると、同じ運行の燃料サーチャージ額は1万7500円だ。こうした燃料価格の上昇分を運賃に上乗せして請求するのが燃料サーチャージ制度だ。
ちなみにトラックマガジン「フルロード」第44号(2022年3月発行)のドライバー通信は「省エネ運転していますか?」というテーマだったが、海コントレーラを運転しているあるドライバーさん曰く、年間の走行距離が6万2752km、平均燃費が2.3km/L、軽油価格は143.4円とのことだった。
これをもとに年間の燃料サーチャージ額を計算してみると、次のようになる。
62,752 (km) ÷ 2.3 (km/L) × 42.5 (円/L) = 1,159,548(円)
もしトレーラの車両燃費が2.5km/Lまで改善(強化)されても約107万円だ。トレーラ1台当たり年間でこれだけの額を荷主が負担するのであれば、運送会社の経営改善に資するのは間違いなく、またドライバーにとっては車型ごとの車両燃費を上回るように省エネ運転を励行するインセンティブにもなるだろう。
なお20トン超のトラクタトレーラでは、2025年度が目標達成年度となるJH25モードの新重量車燃費基準が2.32km/Lに強化されるが、現行の基準は2.01km/Lだ。大型トレーラで2.3km/Lという先の燃費値は、それほど悪い数字ではない。
トラック業界は燃料価格高騰の度に苦境に立たされてきた。物流の2024年問題を始めとする課題が山積するなか、物流危機に対処するには運賃の適正化が重要だ。持続可能な物流を実現するために、今度こそトラック輸送の燃料サーチャージ制定着を期待したい。
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