水素エンジン開発の歴史
近年では、トヨタが2021年5月から、圧縮水素(気体)を燃料とする1.6L・直列3気筒インタークーラー付ターボエンジン(デンソーも開発に関与)を搭載した「ORC ROOKIE GR Corolla H2 Concept」を、自動車レースであるスーパー耐久シリーズに参戦させ、水素ICEの技術開発と水素の活用拡大に向けた取り組みを進めていることが知られています。
実は、日本での水素エンジンの開発そのものは、自動車公害が深刻化した70年代から続けられてきました。有名なのは、東京都市大学(旧武蔵工業大学)での研究で、その一環として、乗用車、トラック、バスなど様々なベース車を用いた研究車両が開発されました。
特に1994年頃に開発された「武蔵9号」は、日野の中型トラック「レンジャーFD」をベースとした水素エンジン車ですが、燃料となる液体水素の極低温貯蔵システムを、なんと荷箱内の保冷にも活用するというユニークな研究車両で、箱根ターンパイクでの試走が公開されたこともありました。
また、2009年には、やはり日野の小型バス「リエッセ」をベースとした水素エンジンバスが、2010年には、小型トラック「デュトロハイブリッド」をべースに水素エンジンを搭載した水素ハイブリッドトラックが開発され、いずれも登録ナンバーを取得し、公道走行を実現しています。
水素エンジンは、排ガスを伴うことから、燃料電池技術・高電圧バッテリー技術が十分な完成度を有するまでの過渡的な技術ともいわれていますが、前述のようにトラックにとってはメリットが大きく、燃料インフラもFCEVと共用できることから、今後の研究開発の進展次第では非常に有力な技術となる可能性もあります。
【画像ギャラリー】12年前に開発された水素エンジンのハイブリッドトラックをチェック!!(4枚)画像ギャラリー