初秋のドイツ トラック紀行ふたたび その11
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コラム
ヴェルトで工場見学や同乗試乗を終えたメディアツアーの一行は、いよいよハノーバーへ。バスに乗ってアウトバーンを北上し、8時間ほどで到着の予定ですが、結構「乗り出」があります。
さて、そのアウトバーン=自動車専用道路ですが、よく「速度無制限」「全線無料」なんてことが言われますが、それって必ずしも正しくありません。トラックは80km/h、バスは概ね100km/hに制限されており、乗用車でも最近は速度無制限の区間がだいぶ減って全体の2割ほどと言われています。カーブや工事区間、住宅地の近隣などではそれに応じた速度制限があるんですね。また、速度無制限といっても推奨速度は130km/hで、さまざまな取り決めもあり、それを守らないと厳しく罰せられるんだそう。さらにドイツでは、オービスなどの速度取り締まり装置が日本の4倍近く設置されており、5km/hオーバーでピカッと光るなんてことが言われています。
また「全線無料」に関してですが、実はGVW12t以上のトラックは、2005年以降、走行距離に比例した金額を負担しているんですね。この通行料金は車両の軸数とクリアしている排出ガス規制によっても増減するそうで、その額は1kmあたり10円~28円程度。収受した料金は交通インフラの新設・拡張・維持投資のために拠出されているそうです。この対距離課金には、何とGPSによる自動料金収受システムが用いられており、OBUと呼ばれる車載器は無料で配布されているんだとか。GPSで距離を計るから、1km単位で料金が収受できるんですね。日本もこういうきめ細かい料金収受設定にしてほしいな~。ちなみに2015年からは、課金対象車両がGVW7.5t以上のトラックに拡大され、さらに来年からは乗用車からも通行料金を収受しようという動きもあり、反対運動もあるそうですから予断を許しません。
アウトバーンのつくり自体は、いかにもドイツらしく質実剛健といった感じで、必要十分といったところでしょうか。設備面では日本のほうが「至れり尽くせり」的なつくりで、この辺、文化の違いを感じます。
運転マナーや技量に関しては、最近はドイツのドライバーも悪化していると言いますが、それでも優良ですね。乗用車も商用車も、総じて運転が上手いです。速いクルマが来たらサッと道を譲るし、日本なら「割り込み」に取られかねないような車線変更も淡々として受け入れます。もちろんサンキューハザードなんかは一切ないですし……。こういったクルマ文化の違いを発見したり得心したりしながら、バスはまだまだ走ります。
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