初秋のドイツ トラック紀行ふたたび その9
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コラム
ヴェルト工場の取材を終えた一行は、いよいよ1周2kmの高速周回路で「アクトロス」の安全性のテストを見聞することに……。この高速周回路は、2008年にヴェルト工場に隣接する55万㎡の土地に竣工したEVZと呼ばれる開発&テストセンターにあります。EVZの設立によってダイムラートラックの生産部門と開発部門の緊密な協力関係がさらに向上したわけですが、そのテストセンターには、オフロードや耐久試験などあらゆる種類のコースが設定されており、世界中のあらゆる道路(路面)を再現できるそうです。
高速周回路でメディアツアーの一行を待ち受けていたのは、「メルセデスベンツ・トラックトレーニング」の揃いのポロシャツを着たテストスタッフの面々。ふだんは安全運転や省燃費運転の教習を行なっているんだとか。今日はダイムラートラックの世界最先端の安全技術をより実際に近い状況で見せてくれるそうです。
注目の安全技術は2つ。まずは、このほど発表された「新型アクトロス」に採用され、来年には「三菱ふそうスーパーグレート」にも採用されることが決まっている、レベル2に相当する自動運転機能で、アクティブ・ドライブ・アシスト(ADA)と称するもの。レベル2の自動運転は、アクセル、ブレーキ、ステアリングを個別に制御するもので、特定の速度でのみ作動するシステムとは異なり、ADAは運転を部分的に自動制御。新たな要素として、アクティブ横方向制御機能のほか、レーダーとカメラから得られる情報を融合し、あらゆる速度で縦方向と横方向の動きを制御します。
もう1つがアクティブ・ブレーキ・アシスト5(ABA5)で、前方車を含む障害物への衝突の危険が迫った際、必要に応じてフルブレーキ(急ブレーキ)を自動的に作動し、ドライバーを支援するシステムです。ABA5の新しい要素は、レーダーやカメラシステムと連動するようになった点があげられます。これにより車両前方の空間をより正確に監視。路上の歩行者への対応精度が上がったそうです。これも来年、スーパーグレートに搭載されることがアナウンスされています。
テストスタッフによるデモンストレーションでは、まず前方に路上停車したクルマにアクトロスが迫るというシチュエーションでABA5の機能を見せるというもの。かなりのハイスビートからのフルブレーキで、真横から見るとキャブがかなりノーズダイブしていることが分かります。
次のデモンストレーションはさらに恐ろしいことに、スマホを操作している歩行者がフラフラと路上に出てきて、そこにアクトロスが迫るというもの。テストスタッフの迫真の演技も、ABA5の精度に全幅の信頼を置いているからでしょうね。アクトロスがちゃんと停まったときには、メディアツアーの一行から拍手がわきました。それにしても、洋の東西に関わらず「歩きスマホ」はやめましょう!
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