初秋のドイツ トラック紀行ふたたび その4
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コラム
ヴェルト工場には、マンハイム(エンジン)、カッセル(アクスル)、ガゲナウ(トランスミッション)などからトラックの製造部品が送られてきます。運ばれてくる部品は毎日トラック500台に達するんだとか。ちなみにヴェルト工場は、はじめはエンジン工場として計画されており、当時はマンハイムやガゲナウがトラック製造工場だったので、立場が逆転したことになります。これは、マンハイムやガゲナウは都市部に位置しているため拡張性に乏しかったためで、その点、広大な湿地帯にある漁村だったヴェルトは拡張性があり、マンハイムやガケナウにも近く、さらに主要な高速道路に接続する二次道路の隣に位置し、鉄道ラインも近くにあり、しかもライン川沿いに積出港もつくられたため、これ以上望めないほどの最適の地だったんですね。
ヴェルト工場の主要な生産設備は、長さ1kmにおよぶ3本のシャシーラインと1本のトリム(艤装)ラインからなります。シャシーとキャブは別々のラインでプリアッセンブリされるのですが、工場は2階建てになっており、プリアッセンブリされたものは適宜リフトで2階に持ってきます。圧巻は溶接などにロボットが多用されていることで、AGV(オートメーテッド・ガイデッド・ビークル)と呼ばれる無人搬送車で運ばれてきたホワイトボディのキャブに4基のロボットでルーフを溶接していく様は、まさに未来的。トラックは溶接箇所が3900箇所あるので、今ではロボットが欠かせなくなっており、ヴェルト工場には現在ロボットが290基、AGVが133両あるそうです。また、各工程ごとに品質チェックを受けるようになっているのですが、キャブの検査にもロボットが用いられ、ロボットのアームに取り付けられたカメラで200項目をスキャンし、2分半で判定するそうで、0.1㎜の誤差も見逃さない精度なんだとか。
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