中古ディーゼルトラックをベースに費用を抑え低環境負荷のEV車へ改造する「EVコンバージョン」事業を推進してきたヤマトモビリティ&Mfg.(以下、ヤマトモビリティ)は、日産車体グループと業務提携を結んだと発表した。
両社は今回の業務提携により量産体制を強化し、EVコンバージョン事業の加速を目指すとしている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/ヤマトモビリティ&Mfg.・フルロード編集部
EVコンバージョン事業を加速、全国展開へ
このほどヤマトモビリティは、現在進捗中のモビリティ事業の本格的な展開を踏まえ、日産車体グループの中核企業であるオートワークス京都(以下、AWK)との間で、コンバージョンEVトラックの生産(組立)等に関する業務提携を行なうことに合意し、2025年9月30日にて「架装委託基本契約」を締結した。
ヤマトモビリティは、中古ディーゼルトラックをEVへ改造するEVコンバージョン事業を展開しており、2025年4月にはIAT(親会社)、SBSホールディングスと共同開発してきた中古の1.5t積キャンターをベースにしたコンバージョンEVトラックの改造認可申請(複数台申請)が正式に認可され、車両ナンバーを取得。
同車は環境負荷の軽減や燃料コスト削減効果に加え、新車と比較して約3分の1の費用で電動化が実現できるとし、EVトラックの新たな選択肢として注目されている。
いっぽう、コンバージョンEVトラックの量産・量販化を目指すヤマトモビリティでは、量産体制や品質保証の確立が課題になっており、より幅広い領域で連携を強化できる企業を模索。
そうした中でAWKは、日産車体グループの一員として車両製造や架装分野で豊富な実績を持ち、高度な製造技術や品質管理体制、サプライヤーネットワークを備えることから、両社のそれぞれの強みを融合し、量産化、品質強化、市場競争力の向上を図ることができると判断。今回、業務提携に至ったという。
提携による相乗効果と具体的なメリット
生産体制の強化と全国規模でのサービス展開
関東圏に続き、関西圏に新たな生産拠点を確立し、全国規模でのサービス提供を実現。市場カバレッジを大幅に拡大し事業成長を加速させる。
品質基準の強化と信頼性の向上
日産車体グループの厳格な品質基準と、AWKが長年培ってきた車両製造・架装技術を導入し、EVコンバージョン車の品質と信頼性を高め、競争力を強化。
サプライヤーネットワークの活用による効率化と付加価値向上
AWKの強固なサプライヤーネットワークを活用することで、部品の調達効率が向上。また、既存車両のメンテナンスに伴う部品交換作業の時間も大幅に短縮され、付加価値向上に貢献する。
認証取得の迅速化と事業展開の加速
AWKが有する認証当局との連携実績と豊富なノウハウを活用し、各種認証の取得プロセスを大幅に迅速化。これにより、新たな車種への適用と市場展開を加速させる。
両社は今後、EVコンバージョンの対象車種・型式を拡大し、物流業界をはじめ幅広い産業向けに持続可能なモビリティを提供していくとしている。
【代表取締役CEO 鈴木昭寿氏のコメント】
今回の業務提携は、生産体制の強化にとどまらず、「中古ディーゼル車に新しい命を吹き込み、循環型社会を実現する」という、ヤマトモビリティの大きな挑戦を加速させます。物流業界をはじめ多くの産業では、環境負荷低減とコスト削減の両立が求められています。
ヤマトモビリティのEVコンバージョン技術とAWKの製造力を融合させることで、「使える車を捨てずに活かす」新しい価値を市場に提供し、環境配慮型モビリティの実現と企業価値向上に貢献してまいります。
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