ウイング車のアオリの開閉を自動化! 日本フルハーフとシンフォニアテクノロジーが共同開発している「未来の荷台架装技術」の実態とは

ウイング車のアオリの開閉を自動化! 日本フルハーフとシンフォニアテクノロジーが共同開発している「未来の荷台架装技術」の実態とは

 トラック荷台架装大手の日本フルハーフと、機器製造大手のシンフォニアテクノロジーがウイング車用の電動式アオリ開閉装置を共同開発中だ。9月10日〜12日開催の国際物流総合展2025で公開された開発中のプロトタイプをレポートした。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部

ウイング車のアオリの開閉を手動から自動へ

野村不動産ブースに展示された日本フルハーフの大型ウイング車。電動式アオリ開閉装置の展示とともにステージとしても使用された
野村不動産ブースに展示された日本フルハーフの大型ウイング車。電動式アオリ開閉装置の展示とともにステージとしても使用された

 ウイング車はボディ側面が鳥の羽根のように開くトラックボディだ。国内の物流で主流のパレット貨物をフォークリフトで側面から積み降ろしできることから、日本の物流用トラックの中心的存在となっている。

 羽根はモーター駆動の油圧シリンダーで開閉する仕組みで、手動ロック解除後にボタンを押せば自動で開閉できる。いっぽう、羽根の下のアオリは手動(重さを軽減する補助装置が付く)となる。つまりウイング車の開閉操作は、

1:ロックを解除する(手動)
2:羽根を開く(自動)
3:アオリを開く(手動)

 という3つの作業(開く場合)が必要。ドライバーはロック解除とアオリ開閉操作のため、車体横を2往復する必要がある。日本フルハーフとシンフォニアテクノロジーが共同開発している装置は、このうち3番目の工程を自動化するものだ。

 現在の開閉操作に運送会社やドライバーから不満が出ているわけではないが、ドライバーの負担軽減や作業時間短縮など潜在的な需要があると見込む。また、今後普及する自動運転フォークリフトとの連動なども視野に入れている。

 装置の開発は2023年に開始。機器のサイズを現在主流のアオリ開閉補助装置と同等程度に抑え、なおかつ装置重量も抑えつつ、強度や耐久性も確保するため、試行錯誤を重ねたという。製作はシンフォニアテクノロジーが行なった。

将来は自動運転フォークリフトと連動も?

日本フルハーフとシンフォニアテクノロジーが共同開発中の電動式アオリ開閉装置のプロトタイプ。素材は鉄、ステンレス、アルミ、樹脂からなる
日本フルハーフとシンフォニアテクノロジーが共同開発中の電動式アオリ開閉装置のプロトタイプ。素材は鉄、ステンレス、アルミ、樹脂からなる

 シンフォニアテクノロジーが製作した電動式アオリ開閉装置は、モーター駆動のアクチュエータでアオリを開閉するもの。従来の開閉補助装置はバネの力で重さを軽減するものだが、こちらはバネとモーターの力を合わせ開閉を自動化している。

 これまでに2台が製作され、1号機は開閉はできたがモーターのサイズが大きく、架装性が課題だった。改良型の2号機は構造変更などで装置のサイズダウンを図ったもので、従来の開閉補助装置と同等の高さを実現。重量も4個で約100kgに抑えた。

 操作はウイング開閉ボタンに連動。ブースでは、説明員がボタンを押すと、羽根とアオリが連動してオープンする様子が披露された。開閉時間は約20秒。安全性を考慮してゆっくり目に設定しており、今後変更される可能性がある。

 現在は日本フルハーフのもとで試験を行なっており、今後は運送会社へのヒアリングや実際の業務での積み込みテストも実施予定。課題を洗い出し、さらなるブラッシュアップを図って製品化を目指すという。製品化目標は2030年まで。価格はユーザーへのヒアリングを通じて決めたいとしている。

 なお、同装置には人などが接触して装置に過負荷がかかると自動的に停止するセーフティ機能が備わる。将来的には人や車両を検知する発展型の機能を搭載。開発陣は「フォークリフトの接近を検知し、自動で開閉する機能なども検討していきたい」と意気込む。

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