日野自動車と三菱ふそうトラック・バスの経営統合が、さる5月30日に最終決定した。2026年4月から、トヨタとダイムラートラックが出資する持ち株会社の傘下となる日野と三菱ふそうは、今後どうなっていくのだろうか?
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/フルロード編集部、ダイムラートラック
異なる企業文化を超えて
まず、日野と三菱ふそうの経営統合は2年前の2023年5月30日、それぞれの親会社であるトヨタ自動車、ダイムラートラックが基本合意に至ったことを発表した。その狙いをひと言で表せば、トラックメーカー1社では背負いきれない投資規模となる、電動化や自動化など将来の商用車技術への継続的な対応にある。
もう一つの狙いは、『日本の商用車メーカーとしての基盤強化』だ。日野は認証不正問題で企業風土の転換と開発・生産体制の見直しが求められており、三菱ふそうは2004年の品質問題以後ダイムラーの支援で再興してきたものの、かつての国内シェアは取り戻せていない。この状況で、個別に次世代の商用車事業に取り組んでいくことは難しく、2社の経営統合が持ち上がった。
特に次世代のトラック・バスでは、水素がカーボンニュートラル燃料として有望とされるものの、水素を用いた燃料電池(FC)、FCを搭載する燃料電池電気自動車(FCEV)は、自動車技術の最先端だけに未解明な領域も多い。しかも世界市場の覇権を目指す中国メーカー勢との競争が激化するとみられている。
そこで、FC/FCEV技術また自動運転技術の研究・開発と実用化、低コスト化を同時に進めるため、トヨタとダイムラーは戦略的なパートナーシップを交わすことにした。2社でその成果を共有し、経営統合後の日野・三菱ふそうの商用車へ反映することで、優れた商品力・競争力を実現する。
これらの内容は、23年の基本合意当時と変わるところはないものの、約2年間で経営統合と協業に関する議論が深められ、共通のビジョンを得たこと、日野認証問題に伴う海外での訴訟もほぼ収束したことから、佐藤恒治トヨタ自動車社長CEOは「(これから)スムーズに進んでいけると思う」と述べている。
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