荷待ち中の待機などトラックの駐停車の問題が深刻化しています。それは20フィートや40フィートの国際コンテナをけん引する海コントレーラでも同様です。
ベテランの域に入った海コンドライバーのヒロさんに「トレーラの駐車に苦労している件」を聞いてみました。
文/海コンドライバーヒロさん、写真/ヒロさん・「フルロード」編集部
*2024年9月発行トラックマガジン「フルロード」第54号より
特に駐車場所で困るのが40フィートコンテナをけん引している場合
自分は、横浜港を拠点に国際海上コンテナをトレーラで運ぶ、いわゆる「海コン」運転手ってヤツをやっております。この業界に足を踏み入れ、かれこれ22年経ったことになります。
今回は「トレーラの駐車に苦労している件」ってことを聞かせて欲しいということなので、自分の経験などを元にお話しさせていただこうと思っています。
自分のハナシとして、トレーラを駐車しなければいけないケースとしては、現場に入るまでの時間調整として、どこかしらに停まって待機しなければならないっていうことが圧倒的に多いです。
中には「いつでも来て、現場内でエンジンかけっぱで待機してていいよ」とか「トラック専用の待機場があるから、そこで待ってて」ってな、神のような現場もあるものの、そーじゃないところでは、止める場所に苦労することも多々あります。
自分ら海コンは、その時に引っ張るコンテナや状態によって、車両全長が変わります。トレーラヘッド単体で走る場合は全長約6m、20フィートのコンテナを引っ張っている場合は約12m、40フィートのコンテナを引っ張っている場合は約16.5mとなっています。
ヘッド単体はもうチョロQみたいな感じなんで(笑)、駐車場所に苦労するってことは、まずありません。20フィートは大型トラックと同じ全長なんで、大型トラック用の駐車枠に停めることができ、そこまで問題になりません。
しかし40フィートの場合は、まあまあ苦労しますよ。高速道路のパーキングエリアやサービスエリアの大型トラック用駐車枠に停めちゃうと、アタマがヒョコっと出ちゃうので、停められない。
もし停めるにしても、2マス使って車体を「くの字」にするカタチで止めなきゃならないんですよね。なので「トレーラ枠」ってのが設けられているんですが、そこはどういうワケだかトラックで埋まっていることが多いし……、ワケがわかりません(笑)。
「テメー、字が読めねーのか?」って、言いたくなるケースに遭遇することも多々あるんですが、本題からズレていっちゃうので、今回はこの件に触れるのはヤメときましょう(笑)。
なぜ現場に入るまでの時間調整が必要なのか?
先ほど「現場に入るまでの時間調整」と書きましたが、なぜそのような事態になるのかと言いますと、
1.現場の門が開く時間が決まっていて、それ以前には入ることができない
2.現場の中に待機できる場所がない
3.現場内がゴタついていて、自分らが入ると邪魔になってしまう
4.一日に何十台もの海コンが来る現場で、待機できる台数が限られている
5.「○時以前に現場に入るのはもってのほか、現場に近づいてもダメ。だからって着指定時間に遅れるのもダメ」なんてお達しが出ている
などでしょうか。
まず「1」のケースは、防犯上の理由なんかがあるんで、仕方がないっちゃ仕方のないことなんですが、現場によっては「運転手さんがいつでも入れるように、コンテナ来る日は門を開けてあるんだよ」ってな、超親切な現場もありますし、「自分で門を開けて入っていい」ってな現場もあるんで、できることなら、そのような対応をお願いしたいですね。
最近流行り(?)の大きな物流施設なんかは「2」のケースが多いですかね。広大な敷地に建つ、いわゆる「マルチテナント」っていうんですかね、多層階で何社も入るような物流施設には、トラック用の待機場が少ない、もしくは無いって場所が少なくないです。
施設側にしてみれば、トラック用の待機場を用意しても一銭にもなりませんし、もしあったとしてもテナント用に貸し出していて、外来のトラックは停められないようになっていたりします。
仮に、外来トラック用の待機場が用意されていたとしても「大型トラック用」だったりして、40フィートのコンテナを引っ張っていると停めることができない場所もあります。場所によっては、40フィートも余裕で待機できるようにしてくれている施設もあるので、一概にどうこうは言えないんですけど、もし造るなら40フィートの海コンにも優しい施設を造ってもらえたらなぁ……と、願うばかりです。
「3」のケースに関しては、これはもうどうにもならない(笑)。誰が悪いワケでもなく、中のトラックがハケてからコンテナを受け入れるみたいなカタチになっていることが多く、きちんと着指定時間通りに作業を開始してくれれば個人的にはあまり不満を持っていないですかねぇ。
「4」のケースは、正直「そんな台数の海コンを受け入れるなら、待機場くらい用意しとけよ!」って思ったりもするんですが、お金だけでなく土地の問題があるので、むずかしいんでしょうね。
これについても「仕方がない」ってことになってしまうんですが、近くに待機できるような場所がない場合、離れた場所に自分なりの待機場所を探す必要があり、けっこう苦労をするので、依頼する側や現場側にも、その辺はちゃんとわかって欲しいなぁって思っています。
「5」に関しては、「だったらコンテナなんか受け入れるな!」ってなキモチでいっぱいです(笑)。条件は厳しいものの、現場の人達がスゲー親切だったりすることも多く、「面倒な条件があってゴメンね」なんて言ってくれるところもあります。そのような現場では、待機するのに多少面倒な思いをしたとしても、自分の中では「いいよ、いいよ。大丈夫」って感じで笑顔になれるんですが、そういうところばかりではありません。
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