このところ、燃料電池に関する発表が相次いでいるが、スウェーデンのボルボも水素燃料電池(FCEV)トラックの公道試験を開始し、その動画を公開した。水蒸気しか排出せず、輸送のゼロエミッション化における重要な技術となっているFCEVは、世界的な大手トラックメーカーにおいてもマイルストーンを迎えている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/AB Volvo
ボルボのFCEVトラックが公道試験を開始
昨年、スウェーデンのトラックメーカー・ボルボトラックスは燃料電池トラック(FCEVトラック)を初公開した。
燃料電池トラック(FCEVトラック)は、水素を燃料に車載のシステムで電気を発生させることで走行するもので、ゼロエミッションで長距離を走ることができる。このため長距離輸送には(バッテリーEVより)適しているとされる。
2023年5月8日にはボルボのFCEVトラックが公道での試験を開始したことが発表された。その公道試験だが、「ただの道路」ではなく、極めて低温の環境となるスウェーデン北部の北極圏で冬季にも行なわれたようだ。
極端な低温環境ではパフォーマンスが低下する可能性も指摘される水素燃料電池だが、公開された動画によるとボルボのFCEVトラックは過酷な環境でも問題なく走行したという。
FCEVトラックが走行する様子はボルボの公式Youtubeチャンネルで公開されている。
ボルボトラックスのパワートレーン・プロダクト管理担当副社長のヘレナ・アルシオ氏は次のように話している。
「トラックは週に7日間、あらゆる天候で運行されます。(ボルボが本拠とする)スウェーデンは北部が北極圏に位置し、その道路は非常に過酷な環境となります。氷と風と雪、これはトラックの試験のためには理想的です。
試験は順調に進んでいます。これまで実施して来た試験に加えて、デジタル試験や本社のあるヨーテボリ近くで実施したテストコースでの試験も順調です」。
水素を動力とするFCEVトラックは、例えば充電インフラのない農村地域への長距離輸送など、BEVトラックだけでは不可能なオプションを提供する。ボルボはFCEVトラックを電動化を補完する商品と位置付けている。
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