先進運転支援システム(ADAS)やコネクテッドなど、最先端のトラックはハイテク技術が満載。最近では、そんなトラック(トラクタ)に引っ張られるだけのトレーラにも、さまざまなハイテク技術が搭載され始めている。
ここでは、欧米サプライヤーを中心に、実用化が見えてきたトレーラ用のハイテク技術の一部を紹介しよう。
文/緒方五郎(商用車ライター)、写真/ワブコ、クノール・ブレムゼ、ヨースト、シュミッツ・カーゴブル、ロール
※2020年6月15日発売「フルロード」第37号より
EBSで走りと燃費を制御するワブコの「ICP」
ZF子会社のワブコが開発しているトレーラ用電子制御式ブレーキシステム(トレーラEBS)「インテリジェント・トレーラ・プログラム(ICP)」には、43種類の機能が搭載可能。
このうち「テールガード」機能は、後進時の車速を10km/hに自動制御。超えそうになるとブレーキが自動作動する。さらに車体後部のバックソナーが人や障害物を検知するとドライバーに警報を出し、自動緊急ブレーキを作動することもできる。
「セーフスタート」機能は、ダンプトレーラなどで荷台を上げた状態を検知し、車速を制限する機能。荷台を上げたまま走行し、架線や構造物に衝突する事故の抑制に寄与する。
エアサスの車高調整機能を積極的に活用する「オプティレベル」機能には、走行状態に応じて車高を自動調整する機能、車高調整で駆動軸重を最適化(燃費向上に寄与)する機能、プラットホームの高さを記憶する機能などが盛り込まれる。
また、このほかにも、ランナバウトを旋回している時に内側の車輪に軽くブレーキをかけることで、ハンドリングやタイヤ摩耗を改善する機能、バッテリー電力制御機能、トレーラ作業記録機能などさまざまな機能が用意されている。
スマホでトレーラを動かせるクノールの「iTAP」
ドイツのブレーキメーカー、クノール・ブレムゼの「iTAP」は、スマホやタブレットのアプリを介してトレーラEBSの通信端末に接続。エアサスの車高調整機能やタイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)の情報表示などができるもの。
従来のトレーラのエアサスの車高調整機能は、トラクタ側(運転席)から操作できないため、ドライバーは一旦降車し、トレーラの車体に備わる制御パネルなどで操作をする必要があるが、同システムを使えばスマホから遠隔操作可能。
TPMSも、トラック単体やトラクタ単体なら問題ないが、トレーラ側に装着されているTPMSの操作や情報閲覧には中継機や専用表示機が必要。同システムを使えば、スマホで情報閲覧ができるだけでなく、操作もできるためドライバーの負担軽減につながる。