夜目 遠目 キャブの内 その2

夜目 遠目 キャブの内 その2

ゆでさんと会ったのは、現在進行中のとある企画の打ち合わせをするためなのだが、ちゃんと話をしようとしても、キャハハ~キャハハ~、話があっちに飛びこっちに飛び、どんどこ話が横道にそれてしまうのだ。仕方なく打ち合わせは10分であきらめ、この件はなりゆきに任せることにした。だいたいナニワのオバちゃん、もといお姉さんと、まともに打ち合わせができると考えたほうが甘かったのである。しかし、現在進行中のとある企画にとって、なりゆきに任せることが適切かどうか、さらに収拾のつかない事態を招来するのではないかとキャップの第六感が告げているのだが、それは来週になれば分かることだ。

打ち合わせをあきらめた後は、もう一つの目的であるゆでさんの写真撮影に……。ゆでさんの会社の車庫をお借りしての撮影だ。日曜日の昼下がり、秋の日差しがやさしく降り注いでいる。のんびりした気持ちになってしまうが、キャップはそれどころではなかったのだ、キビしい現実と戦っていたのである。
そりゃキャップだって血も涙もある一人の人間であるから、ゆでさんをきれいに撮ってあげたいとは思う。ましてゆでさんは、嫁入り前のオバはん、じゃなかったお姉さんである。「フルロード」に載った美しいお姿を見て、「是非うちの嫁に!」という話が舞い込まないとも限らない。だからキャップは、「夜目 遠目 キャブの内」とお題目のように唱え、力の限り目の前の現実と戦ったのだが、物事には限度というものがある。しかしながら、テキは無理な注文を矢のように放つ。「シワ、目立たんように撮ってね!」とか「ほうれい線はNGやからね!」とか「色白に見えるように撮らなきゃあかんよ!」、しまいには「女優さんみたいにキレイにね!」とか。もう、シバいたろか!

こういう撮影では、照れてしまうのが普通だが、ゆでさんは次々とポーズを取ってくれるので、その点はとてもありがたかった。さすが女優やわ(笑)。ただし、ポーズを決めつつ自分でもおかしくなってしまうのか、最後は「ギャハハハハ!」となり、またまた笑いジワが増えていくのである。ゆでさんは、いまだ箸が転んでもおかしいお年頃なのである。

「もっとセクシーショット、決めたろか!  ビキニ、持ってくればよかったな~」「どやろ、ゆでちゃんのピンナップ写真にフルロードのステッカー付けて売ったら、売れるんちゃう?」。
日曜日の昼下がり、いい歳した大人がなにやってんだか……、でも、とても楽しかったな~。
一緒にいると、なんだか心持ちがふんわりしてくる感じだな。ゆでさんは、本当に気のいいナニワのオバちゃん、じゃなかったお姉さんでした。 (おわり)

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