見たこともない プリミティブなトラックが どんどこと…《パート2》
インドでは、確かに見たこともないトラックがどんどこ走っているのだが、その反面、「あれ~!? どっかで見た顔だな?」というトラックもよく見かける。まずは「アイシャー」だ。この小型トラック、よく見れば3世代前の三菱ふそうキャンターのキャブではないか。80年代後半に三菱自動車工業とアライアンスを結び、現地生産を行なっていたトラックなのである。そのアイシャー・モータースもボルボと手を結び、すでに合弁会社のVECV(VEコマーシャル・ビークルズ)を立ち上げている。すなわちダイムラーグループのDICV(ダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ)と一騎打ちの様相で、トラックの出自を知ると、感慨深いものがある。
どういうわけか、街を走るアイシャーのトラックは、タタやアショック・レイランドに見られたお飾りが少なく、代わりに社名の「EICHER」を強調しているトラックが目立つ。それに、メーカーの標準塗色なのかユーザーカラーなのか、それとも他に理由があるのか、アイシャーのトラックはなぜか、フロントとリヤが黄色で、サイドや荷台が茶色というツートンのボディカラーのクルマが異常に多いのだ。なんで?
こちらはスワラジ・マツダの小型トラック。あれ!? このクルマもフロントが黄色で、ボディが茶色だワ。そこで調べてみたら、タタやアショックの小型トラックにも黄色・茶色系が多いことが分かった。ということは、メーカーの標準塗色の線は消え、大手運送会社説が浮上するわけだけど、ユーザー名とおぼしき名前はバラバラなので、これもボツ。ということは、法的に「小型トラックは黄色・茶色系に塗ること」というお達しでも出ているのだろうか? まさかね。ということで、現在もっとも有力な説は、「インドの人は黄色と茶色という原色が大好きである、特にキャブオーバータイプの小型トラックにはこのボディカラーがベストマッチであると思っている」ということになる。つまりは「小型トラックの定番塗色である」というのがキャップの説なんだけど、本当かどうかは分からない。
話が横道にそれてしまった。スワラジ・マツダの話だった。社名からも分かるように、このクルマのベースはマツダ・タイタン(おそらく1989年~2000年の3代目)で、2005年にマツダとの提携を解消してからもスワラジ・マツダを名乗り、タイタンベースの小型トラックを生産している。2006年からいすゞ自動車と中型バスの現地生産・販売で契約を締結。さらに2011年にはSML ISUZU LIMITEDに社名を変更、いすゞ色が強まってきている。考えてみれば、今や日本ではマツダ・タイタンはいすゞエルフのOEМである、そのいすゞ系のSML ISUZU LIMITEDがもう20年も前のタイタンベースの小型トラックを生産・販売しているわけで、なんだか不思議な縁も感じられる。
それにしても、アショック・レイランドの「レイランド」といい、スワラジ・マツダの「マツダ」といい、インドの人は、おおらかなのか物持ちがいいのか、別れた相手の姓を後生大事に名乗り続けることに抵抗がないようだ。でも、結婚を前提におつきあいしている相手にとっては、いささか複雑な心境ではなかろうか。スワラジ・マツダのトップマークは、さすがに現在では「SWARAJ MAZDA」から「SML」に変更されている。
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