2024年6月に登場した日野自動車の大型トラック「プロフィア」の2024年モデル(24型)に、東京・羽村市の日野テクニカルセンターで試乗した。12速機械式自動変速機(AMT)やハンドリングがすごく良くなったぞ!!
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2024年12月発売「フルロード」VOL55より
新設計12速AMTの採用で走りは「別モノ」に進化!
24型プロフィア最大のハイライトが12速AMTの「M112型」12速AMTだ。23型で採用されたM112型は、ギア比は従来の「MZ12型」と同一ながら、AMT専用に新規開発された変速メカニズムとクラッチ断接メカニズムを採用。24型ではシフトマップの最適化が図られたという。
シフトセレクターを「D」に回し、軽くアクセルを開いてみると、その転がりだしはもちろん、微速域でのスピードコントロールが非常にスムーズになっている。
以前試乗した17年型の使用過程車では、ある微速域で気難しい反応をみせた記憶もあるのだが、そのような挙動をあらわすことはなかった。なお、プロフィアには微速操作用のクラッチペダルの用意がない代わりに、セレクターに前進用と後進用の「SLOW」レンジをそれぞれ備えている。
いったん停止して、今度は時速60kmまでの発進加速を試す。排気量8.9Lの直列6気筒2ステージターボ過給の「A09C-VA〈AT-X〉」型エンジンが軽く2000rpm付近まで吹け上がり、M112もシフトアップを繰り返す。
変速操作は素早く、シフトショックは充分に丸められており、実に爽快な加速フィーリングだ。構内上限速度60km/hが物足りなく思えるほどである。変速時間は従来型比で最大約30%も短縮しているが、その違いをもたらしたのは、ほかならぬM112型の一新された内部構造である。
再び一時停止し、今度は街中を走るようなイメージで、時速30〜50kmあたりの速度域を試してみても、やはりスムーズな所作は変わらない。上り坂の途中で一時停止してからの再発進、再加速も同様である。
変速速度がさらに早いことに越したことはないが、大トルクをやりとりするメカだけに、耐久信頼性を考えると妥当なところだろう。
AMTに不利なシチュエーションもスイスイ走る
もうひとつ印象的だったのが、「直交したい交差点で減速、左折中から始まる坂を、低速を維持したまま登りきる」というAMTには難関のシチュエーションでも、なんらつかえることなく意のままに回れたことだ。
本来ならフル積載時でこそ試したいところではあるのだが、24型プロフィアにおけるめざましいドライバビリティの向上を、端的にみせつけられた場面だった。
このほか、ステアリングコラム左側のマニュアル変速レバーで手動シフトを試したが、こちらも素早く滑らかで、減速チェンジのフィーリングも良好。
ちなみに自動変速モードは初期が「ノーマル」となり(従来はエコ)、A09Cエンジンのパフォーマンスを過不足なく引き出せるモードとして、実際にも気持ちよく走れる。
もっとも空荷であれば、選択操作となった「エコ」でちょうどよい感じではあった。逆に積極的に回転数を引っ張りたい場合には「パワー」モードが役立つだろう。
なお、A09Cエンジンは最高出力380PS/1700rpm、最大トルク180kgm/110〜1400rpmというスペック、エンジン制御ともに20型以前のモデルと同じだが、24型では2015年重量車燃費基準値をクリアしており、排ガス記号は「2KG-」となる。
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