オフィス街に路駐して大型1台分の積荷を8階まで運べって!? むちゃブリも甚だしい!! トラックドライバーが綴る忘れられないお仕事ワースト3

忘れられない仕事ワースト1位

 そして第1位は、東海地方から神戸市内までのチャーター便です。行く前から、配車に、「関西方面、荷物薄いから、空車バックになるかもしれない」と言われます。

 現地で荷降ろし完了後、配車に連絡を入れると、「帰り荷が見つかった。積むのは路線会社だけどチャーター便になる。岐阜の○○(路線会社)に行って!」と言われ、空車で1時間ほど移動し、バラで500ケースほどを積み込み、そこの担当者から送り状を貰い、無事に出発しました。

 途中でトラックを止めて遅い昼ご飯を食べながら、送り先の神戸の住所を調べると、大手酒造メーカーのオフィスビル8階、✕✕様宛、と記されています。この場所を調べると、とても大型トラックが入ることができなそうな場所で、しかも「8階」って……。

 なんか、いやな予感がするぞ! と、カンが働き、送り状に書いてあった降ろし先に直接、電話を入れました。

 「お忙しいところすいません。明日、朝1番に、納品に伺う予定の大型トラックの運転手なのですが、8階のオフィスに500ケースで間違いないでしょうか? それとも近くに倉庫か何かあるのでしょうか?」と尋ねると、

 電話に出た女性の方は、「納品でしたら、皆さん8階のオフィスまで持って来て頂いております。因みに500ケースはどのぐらいの量になりますか?」などと言うのです。

 「どのくらいって? 大型トラック1車分になります」と答えると、「1車分ってどれぐらいになりますか?」と言うので、これはラチがあかないと思い「長時間の路上駐車になりますし、一人で500ケースも8階に担ぎ込むのは無理なので、荷物を積んだ運送会社に連絡を入れます。ありがとうございました」と、電話を切りました。

 早速、苦情の電話を自社の配車に入れ、「今、積んた荷物なんやけど、『神戸のオフィス街で大型トラック止めて500ケース8階に担ぎ込みしろ!』って言ってるで。どないかして!」と言うと、「ちょっと待ってて、すぐに連絡を入れるわ」と言うので、一旦電話を切り、その場で待っていてもしょうがないので、大阪へ向け、トラックを走らせることにしました。

 しかし1時間が経過しても連絡がこず、こちらから、再度、連絡を入れると「派遣で荷降ろしできる人を頼んでるんやけど、折り合いがつかず揉めている。もうちょっと待って!」。

 それから30分後に、連絡が入り、「明日の朝、荷主さんが岐阜から従業員を数人連れて降ろし先に来ることになった。宜しく頼む!」とのこと。

 私は「わかりました。たぶん明日の荷降ろし、時間かかりますよ」と答え、その場は電話を切りました。

 そして翌日、着時間より少し早めに現場に到着。狭いながらも、なんとか大型トラックも入り、荷降ろし先の高層ビルの真横にトラックを駐車したのですが、停めた場所が、コインパーキングになっており、ちょうど2台分のスペースがかぶってしまいます。

 「どうしようか?」と思ったのですが、この場所を離れるともう近くにトラックを停めることは不可能なので、しかたなく路上駐車し、降ろし時間まで待つことに。

 すると、15分前に荷主さん達が到着! 8階の大手酒造メーカーさんと、降ろし場所の打ち合わせの後に荷降ろし開始となりました。

 この担当者は朝1番に「運転手さん1人でできないかな?」などと言うので、このタイプの人間はハッキリ言わないとわからないと感じ、「この荷物は、トラックの荷台からの手渡しと聞いています。しかも、この場所は違法駐車になりますし、クルマを離れることはできません」と、きっぱり断りました。

 その方は、フンと鼻を鳴らし、機嫌悪く作業を始めました。しばらくすると、駐車監視員が来て、「このトラックは違法駐車になります。すぐに動かしてください」と言われ、私は「荷降ろしの担当者がもうすぐ戻ってくるので、その旨を話してくれませんか?」と……。

 ほどなく、荷主担当者が戻ってきて「あと30分ほどで終わります。その後、すぐに移動させますので」とその場を収めました。私は「絶対に30分では終わらないぞ。あとはどうなっても知らんで!」と、思いながら、横で話を聞いていました。

 その後1時間たっても、荷物は半分も降りず。挙げ句の果てに、「ちょっと休憩する」なんて言うので、「これは午前中いっぱいかかるなぁ」と思いました。

 休憩していると、先程の駐車監視員が戻ってきて、今度は「長時間駐車になるので、普通車2台分、コインパーキングにお金を入れないと駐車違反になる」と言いだし「先ほどの担当者に言って」と答えると、なんと、その担当者から「ドライバーさんから貰って」と言われたそうです。

 アタマに来て「文句を言ってやろう!」と思ったのですが、この場を早く離れたいのと、次の仕事も押しているので我慢し、「オレも払う気なんてサラサラ無いよ」と断ると、怒った駐車監視員は警察官を引き連れて戻って来ました。

 結局、担当者はコインパーキングにしぶしぶお金を入れておりました。そんなゴタゴタもあり、荷降ろし開始から3時間過ぎてもまだ終わらず、私は「次の積み込みの時間に間に合わないので、とりあえず荷物を道の端っこでも降ろしてくれないか」と伝えると、イヤイヤながら降ろしてくれました。

 私はアタマに来ていたので、無言で受け取りのサインだけ貰い、礼も言わずに、サッサとその場を離れました。今、思い出しても腹が立ちますねぇ。

 現在は海コン運転手なので、荷扱いがほとんどなく、以前と比べると楽になりました。給料は減りましたが、なんとか日々の生活はできています。今は、女性や若い子が海コン運転手になっています。

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