豚さんに快適に過ごしてもらうためのアイデアも
また、道中、豚に快適に過ごしてもらうため、サイドパネルは上下にスライドして風通し良くなるよう窓を開けることができる。さらに渋滞などで停車したときには電動ファンで換気できる。
床は彼らが滑りにくいような突起のあるデザイン。掃除がしやすいシンプルな構造で、いつも庫内を清潔に保てるのも重要だ。天井は開閉可能で最上階に豚を乗せるときに人間が作業しやすい設計になっている。
豚は足の構造上、スロープを上ることはできるが、下ることはできない。彼らを載せるときにも降ろす時もうまく誘導できる通路が必要。ベルデックス社では養豚場からトレーラまでの誘導通路も製造している。
豚にとってはかなり快適な環境ではないだろうか。こんなハイクオリティなトレーラが生まれた背景には、欧州の Animal Welfare /動物福祉という動物愛護に基づいた家畜にも優しい思想がある。
その辺の事情をオランダ農業振興会の方にお聞きした。豚は一緒に生まれ育った兄弟たちと一緒いるほうがストレスが少なく、肉も美味しいという。そんな彼らを搬送するときも極力ストレスを減らすアイデアが必要だったのだ。
オランダでは年間1400万頭(2011年)生産、そのうち約70%が欧州をはじめ世界中へ輸出され、日本へも精肉のほか大ヨークシャーなどの種豚が輸入されている。輸出量はアメリカ、ドイツについで世界第三位(2011年)となる。
チューリップと風車が有名だが、実は畜産先進国で動物愛護の精神に基づきながら、安全で健康的な美味しい食肉を生産、供給している国でもあるのだ。このトレーラは現在4台が活躍中とのことなので見かけるチャンスがあるかもしれない。
●取材協力:日本ロジスティクス イノベーション(ベルデックス輸入・販売)、オランダ農業振興会
【画像ギャラリー】国内初輸入の家畜運搬トレーラは実物もミニチュアも作り込まれています!(11枚)画像ギャラリー