トラックドライバーの誇り その39
偉そうなことを書いてきましたが、単純に旧来型の最低運賃制度の復活は無理です。つまり、荷主相手の最低運賃制度の復活は無理だと申しているのです。
運送業界の顧客を大きく分ければ、農林水産関係の一次産業、製造業などの二次産業、そして、引越し荷物などの第三次産業に分類できるでしょう。どの産業分野が相手でも、中小零細企業の経営者のみなさんは、「直接取引が出来れば……」、そんなことを思い描いたことはありませんか? 思い描くのは当然です。利益率が下請けよりも大きくアップするからです。ですが、現実には無理ですよね? 当然です、出来るものならすでに実現しているでしょうから……。
しかしながら、そこが一番のポイントです。重要なポイントです。
荷主相手の最低運賃制度の復活は無理です。前述で示したように、第二次産業の荷主がまず反対に回り、政治的圧力を掛けてくるのは間違いないからです。なぜなら彼らの要望を聞き入れ、まず最初に行なった規制緩和が運送業界に対するものだったからです。今でもはっきり覚えているのは、当時、新聞に載った記事でした。
「運送コストが高すぎて、とても企業としてやっていけない」。
それから、ホンの数か月後に規制緩和で最低運賃制度が廃止され、誰もが業界に参入しやすくなったのです。次に同じような記事が数か月後か1年後くらいに載りました。
「人件費が無くなれば、会社は儲かって仕方がないだろう」。
そして、その後、派遣労働法が施行されたのです。
それほど大きな力を持つ荷主に対して、最低運賃復活を求めても無理だということは理解できましたでしょうか。それでは、なぜ最低運賃精度の復活というのか? その疑問は当然です。厳密に言えば復活ではなく、新しい最低運賃制度の確立、あるいは新設、創設といった方が的確な表現なのかもしれないのですから…。
今まで、経営者のみなさんが思い描いたことのあることを、2つ挙げました。
①最低運賃精度の復活
百害あって一利なしのダンピング競争に歯止めをかけるのは当然です。そして私は、これこそが無駄の多い古い業界の体質を壊し、再構築に繋がるものと思っています。
②荷主との直接取引
収益力をアップし、ドライバーの安全運行を確保し、会社も安定経営に持ち込むには、収益が上がらなければ何にもなりません。直接荷主との取引ではなくても、元請の次くらいには入りたいものです。
次回から、あくまでも私案ではありますが、この2つをドッキングさせた案を示したいと思います。
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/
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