元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」 No.30
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寄稿・連載
トラックドライバーの誇り その28
幻覚について書く予定だったのだが、実際のところ私自身がそのような体験があるかと言われれば、そんなに記憶がないのである。ただ、眠気を我慢して究極の状態になった時、ふと、
「あれ! 俺、今夢を見ていた」
と、思ったことが2回、あるいは3回くらいはあったと思う。内容こそ覚えていないが、それこそ幻覚、つまり幻視状態ではなかったかと思う。
そしてその時、一瞬居眠りをしていた時と同じように、トラックが路肩に寄っていた。私が居眠りをした時は、必ず左側にトラックが寄る。これは、多くのドライバーが経験していて、居眠りをした時、自分は左に寄るとか、右だとか、そのような話はドライバー同士ではよく耳にすることだ。
通常、夢は脱眠時の眠りが浅くなった時によく見る。だけど、入眠時に見る夢も時々はある。だが、運転中の居眠りは、ホンの数秒、あるいは1秒もないかもしれない。そんな短時間で入眠直後に夢が見られるものだろうか……。実際のところ、私にも分らない。だが、入眠の直前に同じ状態が起こらないと誰が言い切ることが出来るだろうか。
入眠時の境目は曖昧で、意識があるかないかの差だろうけど、朦朧運転をしている時は、その入眠と脱眠を繰り返している状態だと、私は経験上思っている。その時に見るのが幻覚ではないのか……。たぶん、これは医学上も解っていないことではないかと思う。
しかし、この幻覚のことはこのブログの趣旨ではない。私は、朦朧運転と一口に言うが、実際に運転している者がどんな状態であるのかを、一般の方に知ってもらうために、錯覚や幻覚ということを出した。そして、上記に挙げたような例、つまり、入眠、脱眠を繰り返している状態の運転が、一般的に言う朦朧運転という事を知ってもらいたかった。
つまり、一瞬眠っていた。これは、多くの長距離ドライバーが経験していることであり、その一瞬に何かがあった場合、その時にこそ、死亡事故になってしまうのだということを知って欲しかったからだ。
何かがあった場合、それは、事故渋滞であったり、工事渋滞であったり、突然の車線変更の車であったり、路肩に止まっている車に激突ということもあり、さまざまだ。
さて、次は今まで説明したことの関連性を考慮しながら、検証したい。
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/
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