元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」 No.25

元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」 No.25
トラックドライバーの誇り その23
 
収入の一割を超える罰金や、物損事故などのドライバーへの全額負担を強いること。これらは明らかな労働基準法違反であっても、軽微な事故防止には一定の効果があるのは認めざるを得ない。だが、繰り返すようだが、ドライバーは生活のために収入を得ようとして働いている。ということは、事故を起こさないために、それなりの緊張状態で運転している。しかし、その緊張状態が切れる瞬間が訪れた時……。
人間の気持ちの持ちようというのは、本当に凄いと思う。私自身の体験だが、三十代の後半にはかなり無理をして働いていた。借金の返済があり、欲と道連れで働いていたのだ。睡眠時間は平均4~5時間くらいだったと思う。毎日降ろしては積み込み、また走り続け、高速代も節約していた。それでも、無事に何とか事故には無縁で働けた。
だが、無事故で切り抜けたのは運が良かったとしか言いようがない。何故なら、間一髪の瞬間がその頃に一番多かったのを、今更ながら思い出している。
間一髪の瞬間と言うのは、ドライバーを長年続けている人たちほど、より多く経験していると思う。その、ヒヤッとした経験が多いほど危険な運転をしているのは、今更説明するまでもないだろう。
人間の気力、そして、体力ともに限界がある。どのようなプロのスポーツの選手でも、それは明らかで、強い選手がいつも勝つとは限らない。好不調の波があり、また、緊張の糸が切れた瞬間には、棄権退場などもある。それは、プロのドライバーでも同じことが言える。
社則や罰金などの縛りで、ある一定の効果は発揮できても、その緊張の糸が切れた瞬間……。
私自身の経験から、次回からはそれに話を移したい。
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/
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