元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」 No.16

元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」 No.16
トラックドライバーの誇り その14
 
前回のブログで私が問いかけたことに対して、みなさんはどう感じられたでしょうか? 会社が打ち出したデジタコによる速度規制で事故が減ったからといって誇れるのか……。私の考えでは、十分に誇れるものだと思っています。ですが、ドライバー自らの発案による結果といえないのは事実です。しかし、社則による強制であっても、自らの安全運転の意識の高さからであっても、結果は同じことなのです。
強制と自発では、根本的な事が違うと考える方もいるでしょう。しかしながら、人が社会で生きている以上、ある種の縛りはあって当然なのです。つまり、我々は法治国家で生きている以上、法律の縛りがあります。それは、自分を守り他人を守るためです。その小さな単位に於いて、社則があっても何ら不思議ではありません。
しかしながら、そのことがドライバーの過労運転を呼び、居眠り運転、意識朦朧とした半居眠り状態での注意力低下などを引き起こしているのも事実なのは、もう現役のみなさんがよくご存じのとおりです。
そのことの説明に、もう一度前回であげた数字を見ていただきたい。
本来、その数字のあげ方は、私がネット上で先入観や思い込みだけで、ドライバーの悪口雑言をいう連中に対する説得であげたものですが、見方を変えれば異常な死亡事故の多さが目につくはずです。
死亡事故では、対乗用車比で5年間に16ポイントの減少です。だが、それでも113%あるのです。そこをよく考えていただきたい。
誇れるのは、事故率の減少であって、死亡事故の多さは絶対に誇れるものではありません。乗用車比で13%しか変わらないのなら、凄いことじゃないかと思う方がいたら、全くの間違いです。
事故率が34%しかないのに、死亡事故率が113%というのは、言い換えれば一事故あたりの死亡事故件数率は、
34/113=3.3 
つまり、トラックの事故は3.3倍以上の死亡事故があるということです。そして、平成17年度を見てみますと……。
42.6/129=3 
3倍と、実は少ないのです。つまり、乗用車の方が死亡事故率は、トラックよりも減っているということがいえます。軽微な事故ではトラックが勝り、重大事故では乗用車には及ばない。
運行管理者のみなさん、ドライバーのみなさん、誰にこの死亡事故率の減少を誇れますか?  
次回以降、一緒に考えてみましょう。
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/  
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